99／自己嫌悪

夫婦は他人とよく言われる・・・・・でも親子以上の仲にも成れる、そうつくづく思った
そんな思いの時、英治が漏らした一言・・・・・

「こうしてひかると会う度に、女房に悪くて・・・・・自己嫌悪になる」
横浜では珍しく何度か雪が積もった冬が終わり、春めいて来た三月の終わり
モーテルの一室で、手足を絡め裸で抱き合っていたひかるに、英治がそう呟いた
長く濃密な情事が終わったばかりのベッドの上

「・・・・・だったら、もう止める？」
「そんな事出来ない!!」
「奥さんとはどれ位？」
「もう随分して無いんだ」
「それは・・・・・・・酷いわ」英治は確かにそうだと考えた

静子と結婚して２４年が経ち、二人の子供内一人は来月から社会人だ
ある大手の電気メーカーに就職が決まり、大阪の本社勤めで先週引っ越して行った
下の娘は来月に大学の２年になる
四人でずっと暮らしていたのが、先週から三人になってしまった
静子は寂しいに違いない
そう思っても、もう何年も抱いていないので、気が引けてしまう


「奥さんに浮気を勧めたら？」
「えっ、なんだって？」
「奥さんも浮気をすれば、自己嫌悪は無くなると思う」
「それはそうだけど・・・・・」
「嫌なんでしょう？奥さんが他所の男に抱かれるのが」

英治はそんな事を、チラッとも考えたことは無かった
女房の静子が他人に抱かれる？
静子が他の男のペニスをしゃぶり、あれに入れる？
然も気持ちよくて悶え喘ぐ？
自分から腰を振って逝きたがる？

想像すると堪らなかった
「考えていたんでしょう・・・奥さんが犯されている所を？」
「ほら、興奮して・・・こんなになってる」
ひかるがまた硬く大きくなったものを手で掴む

英治が頭を上げ脚の方を見ると、ペニスがそそり起っていた
今出したばかりで、まだひかるの膣の中に精液が一杯溜まっているというのに

「出してまだ１０分しか経ってないわよ」
「ああ、あぁ」

「私、ある人に言われたの・・・・・愛し合っていれば平気だって」
「確かにそう思うの」
「主人は私がしているのを知っているし、私も知ってる」
「知らなかった時より好きになった・・・・・・・凄く仲が良くて、上手く行ってる」
「主人とのセックスの回数が増えたの」


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