3-79／ねえ、抱いて

美子も男からよく誘われた
気に入れば即ホテルが多かったが、一度きりに徹していた
単なる不倫で押えていたが、前田とは続けたいと思った
ひかるに見られたのは、もう何回目かのデートだったのだ


「へー、あの厭らしい岡野さんと担任の先生」
「ひうなの、びっくりしたわよ」
「ここでも、良く声を掛けられているものね」
「あれだけ見せてやれば・・・」
「でも歳の割にはいいスタイル」
「それは認める。アンダーを着けず、あの胸とお尻」
「ええ、私も頑張らなくちゃ」
「うん、私も」


そんな話を優子として帰り、夕食の用意も出来、子供二人と姑に食べさせた
三人は風呂にも入り、自分の部屋に行ってしまった
少しおかずを摘み、テレビを見ながら主人の帰りを待っていると、１０時少し前にチャイム
着替えを手伝い、ビールを注ぎ一緒に食べ始める

「再来週の土曜日、常務の家でパーティなんだ。一緒に来てくれ」
「ええ、服装は？」
「カクテルドレスで良いだろう・・・スイスの公使夫妻が来る」
「はい」

ひかるは英語が出来るので、結構この手のパーティには参加し慣れている
これも主人の出世の為と思うと、気にもならない
「どの常務なの？」
「伊藤常務」
「だったら、奥様は会長の娘さんよね？」
「ああ、この４月に専務に決まっていて、次の社長さ」

「うわー、プレッシャーが懸かる」
「いつも通りでいいよ。大した事ではない」
「だって貴男は伊藤派じゃない」
「だから大した事ではないんだ・・・・・春に部長になる」
「えっ、貴男、部長？・・・役員待遇でしょう？」
「そうなる」
「へー、凄い・・・・・上場会社の役員。それも４０代で」
「ああ、そうだな。大した事じゃない」


「ねえ、抱いて」
「珍しいな、お前から」
「興奮してるの」
「部長で？」
「そう、早く鎮めて!!」


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