3-67／あれ章代さん

聞いている優子が、またブルッと震えた
「何しろ信じられなかった。何の魅力も無い、ただのデブのオヤジに何回もよ」
「持ち物が違ったとか？」
「無いわよ・・・いたって普通のサイズ」
「へー、お姉さんがそんな男に」
「最初は何をされるか不安で怖かったの。でも何時からか、この人の言う通りにしたいと」
「ふーん、私も信じられない」

「今度会ったら何をされるか？」
「また会う気？」
「うん」
「恐らくロープで緊縛とか、目隠しとか・・・」
「縛られたら跡が付いちゃう」
「上手い人なら付かないし、いい素材が有るそうよ」
「へー優子、詳しいのね」
「いやだー、雑誌かWEBでよ」


「こんにちは」
ジャグジーで手足を伸ばしクールダウンしながら、大田の話をしていたひかると優子
挨拶をして入って来たのは、最近仲良くなった水沢晃代だった
３５歳で小学校２年の男の子がおり、同じ歳の夫は上海に出向中
借りていたマンションから出て、今は実家に居る

「あれ章代さん、今日はバイトではなかったの？」
「ええ、昨日と変わったの」
「そうなんだ」
「ご主人、今度はいつ？」
「暮かな」
「まだ３ヶ月もある・・・寂しいよね」
もう慣れてしまった
居ないのが当たり前になってしまっている章代だった

「夜が寂しいじゃない。オナニーだけでは・・・・・恋人は居るの？」
「そんな。いないわよ」
「そうか、作ればいいのに」
「無理よ、そんな事」
「でも、欲しいと思うでしょう？」
「思うだけなら・・・でも怖くて」
「安全で安心できる男を作れば？」

このコナミで章代に言い寄っている男が居た
格好のいい男で、今度誘われればどうなるか分からない、そう章代は思っていた

「長谷川さんから誘われているでしょう？」
その男の名前が出て、はっと章代はした
「長谷川さんは止めた方がいいわ。金目当ての札付きの詐欺師だから」

「なんら安心な男を紹介してあげようか？」
「えっ、真面目な話なの？」


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