他所の妻2-56／お利口さん

もう少しの余裕も無い顔で建夫を見る
「いいからイッちゃえ」
器用に片脚を上げ、胸を合わせると優子は一気に上下に動き出した
建夫は気が気ではなく、部屋の二人を見詰めていた
すぐに動きが止まったが、全く声を出さなかった

長い髪を撫でながら「私のお利口さん。一言も声を出さなかったね」と褒めてやる
首だけ振って答える優子の胸が大きく揺れていた


「隣の二人は？」
「今は四つん這い」
「バック？」
首を回して見る優子の目に、ひかるの悶える顔が見えた
もうすぐだわ、と思った
うーんうーんとしか聞こえない
歯を食いしばり、必死に声が出るのを我慢しているのが分かる
おんなじた、と思い微笑んでしまう

あぁ、お姉さん気持ちいいの？と優子
ひかる、感じるのか？いいのか？と建夫
自分の時との違いは無いかと、建夫は見詰めていた
「もうひかるは逝くな」
「ええ、そんな感じ」
「でもおかしい。いつも最後は正常位で逝きたがるんだ」
「・・・・・それは貴男だからよ。顔を見たいから。安心出来るの」

ふーん、そんなものか？と建夫は思う
もし、そうだったら、許せると考えた
「ほら、翔一も一緒にいく気よ。合わせるんでしょう？」
「おぉ、そうだった」
と同じスタイルになって後ろから突きまくる

少し遅れたがまあほぼ同時だった
優子は静かだった
ふっと気付くと左手が痛い
優子の口が噛んでいた


「あら、ご免・・・血が滲んでるわ」
ああ、としか答えられない、仕方が無い
声を出すなと言ったのは私だ
痛い、でも仕方が無い
「二人はこれが初めてだな」
「えっ？何故」と聞きながら、この人鋭いと思った
「そんな気がする」
「そうね。今の私達ほど、馴れ馴れしさが無いわ」
中々優子は観察眼がある、気を付けようと建夫は考えた


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