甘いヤツ-9／同じ人種

へー、今年のカタログの表紙のドレス
売っちゃったよ
どう言う事？
紫野さん、何者？

「売っちゃいましたね。　全国で一番です、きっと」
「先程買って頂いた、佐藤様の紹介」
「ふーん、早速。　凄い」


それから８時まで９名のお客様に買って頂き、合計３４０万円少し
「これ、一日の売り上げの新記録」
「今までは？」
「去年の１２月に２３２万円」
「そう」
「これで今年の暮のボーナスが楽しみになって来た」

「今日の私を見て頂いて、一つだけアドバイスをお願います」
「年上であっても年下でも、同じ様にしたら？」
「当然、言葉遣いは変わるけれどね」
「年上の客には中々言えなくて」
「ならそこから変えよう、ね？」
「はい。　今日はお疲れ様でした」
「お疲れ。また明日も売ろう、ね」



駐車場へ入ろうとすると、直ぐに車が近寄って来た
京介の所で止まるとドアが少し開く
「お乗りになって」
「お腹、空いていないの？」
「一杯買って来た。　お部屋じゃ駄目？」
「待てない？」
「待てない、すぐに欲しい」
「ズバリと言うね。　何時もそうなの？」
「相手に因る」
「私には何故そんなに直接的？」
「同じ人種だから。　私よりお金が有るのも分かる」
「ほー、そう」
「金持ちは、いえ余裕の有る人は体からにじみ出る、分かってしまう」
「新横でいい？　それともコンチかどっかにする？」
「コンチまで我慢出来るの？」
「出来ない、もう」


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