打算-43/隠し事

仕方なく大野と小沢の女房の事を話した
「唯の不倫で旦那様の出世の為」
「そうだな」
「そんな話はそこら中に転がっているじゃない」
「それは解っているんだ」

「わたしの経験では、それから先の事は勉強不足」
「何かが引っ掛るんだ」
「ただの不倫、きっと」

・・・・・しかし見返りが大き過ぎる

ユェミーと話をして、一緒に暮らして、秀一は昔の貧しかった生活を忘れている自分を叱った
少し株で儲け金持ちになったからと言って、何時またどん底に落ちないとは限らない
その為にも、贅沢は程ほどにしようと反省した

「東京は２日だけだから、頑張ってね」
午前たった３時間のお供で、秀一は疲れ切っていた
それでもまた負けるのが分かっていて、ユェミーには逆らってしまう
「何時でも来られるだろう？」
「交通費が勿体無い」

「大阪にも京都にも、銀座に出している店は有るじゃないか」
「いいえ、どのブランドも銀座店がメインです」
「確かにそれは言えるなー」
「そうでしょう？」
「分かったよ」


ユェミーは、午後からも有名ブランド店に全て入ってチェックしていた
「シャネルは私が一番好きなブランドなんだ」
ジロッと睨み返す顔・・・「ブランドに興味が無いのでしょう？」と言いたげなその顔

「わたしがあと２０年歳を取ればいいかも知れない・・・わたしにはまだ早い」
・・・・・そんなものですか

結局６時まで延々と歩かされた
寄ったのは１０数店、正確な数はとうに忘れてしまっていた
「夜は何がいい？」
「お寿司が食べたい」
・・・・・オーケー行きましょう


銀座で有名な、いや日本で一番有名なその店で、驚くほどユェミーは食べていた
「ここのお寿司、シンガポールより美味しい」
当たり前だ!!
値段は教えない事にした
何を言われるか解っている
・・・・・「日本人って、食事に関しては常識がないのね」
そう言うに決まっている

秀一だってそう思うのだから、外国人のユェミーには当然だ
クレジットにしよう、値段がユェミーに解らない
しかし、外に出てすぐに言って来た


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