打算-42/ただの不倫

「私にはブランド何て興味が無いんだ」
「へー、そう？」
「そうさ。私はどんなブランドでもいいんだ」
「だったらなぜ貴方はいつもイタリア製の一つのブランドのスーツなの？」
・・・・・逆らっても負ける、くそー

「そのジャケットの裏のＥＺって何？スーツにも下着にもＥＺって入っていなかった？」
「貴方のどこがインポテンツなの？」
・・・・・うん？どういう意味だ？


「わたしが毎日、貴方の下着を脱がしてフェラチオをしているのよ」
「ＥＺがＥＤに見えて来るの・・・ＥＤ治療なんて貴方には全く必要ないわよね」
・・・・・ああなる程、そこに行くのか
「すぐに大きくして、気持ち良さそうにしているわよね？」
「ああ、ユェミーのフェラチオは気持ちいい」

「そのトランクスのＥＺが、わたしいつもEDに見えるの」
「ＥＺって貴方のイニシャルなのよね、ＨＮではなくて」
「解ったよ。確かにゼニアは気に入っているさ」
「分かればそれでいい」
「着易いからだ」
・・・・・またいつもの不敵な笑みだ
「そうよねー」

「時代は廻るの・・・スカートの長さやネクタイの太さと一緒」
・・・・・はー、そうですか
若い女の思考、いや嗜好は分からん、と秀一はつくづく思った

話し続けても、どうせ勝てない
早く銀座に行った方がいいと考え、秀一は下に降りた
歩いてもそんなに掛からないのだが、タクシーに乗る癖が付いてしまい乗ろうとした
・・・・・睨んでいる
「解ったよ、歩くよ」


何軒廻る？まだ行くの？
秀一のうんざりした顔が分かったのか
「お疲れの様なので、少し休憩してあげます」
あー足が痛い、やっと座れる
次回からはジーンズにスニーカーにするぞ、絶対に


ついでに昼食を摂る積りで、秀一はホテルに戻る事にした
ラブラスリーにユェミーと入ろうとして、秀一はピタリと歩みを止めた
「おっ、専務・・・・・一緒に居るのは誰だ？」
何処かで見たなー・・・・・誰だった？

彼の特技の一つが、一度会った人間の顔と名前を覚える事
思い出した・・・・・フランクフルトの小沢の女房
何故、日本に帰っているんだ？
何故、専務と？
「何故、この二人が一緒に？」

あいつは５年前、私と前後して大抜擢された
私が３年早いと専務に言ったんだ
来月ニューヨークの次長・・・・・これが理由か？
いや、それだけでは余りにも・・・・・
何か有る、何なんだ？


「入らないの？」
「あぁ、他にしよう。天ぷらと中華のどちらがいい？」
「天ぷらが食べたい」
「よーし、だったら天一に行こう」

ユェミーはさっきレストランに入ろうとして、急に止めてからの秀一が気になっていた
「さっきのレストランの二人がどうかした？」
「いや、何でもない」
「そう、わたしに隠し事、いいえ嘘を吐くのね」
「ユェミーにそんな事は絶対にしない・・・誓う」


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