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打算-38/過去

2010年07月31日 00:12

打算-38/過去

低い、少ないと文句は言ってもまず居ない
こちらの人は、いやゾーラやユェミーが違うだけだろう
人間性の違い、品性の違い
ゾーラにもユェミーにも品格があった


この給料なら、家族8人が十分暮らせる
彼女は一番年上の23歳で、下に三人の弟妹と祖父母も居た
三人とも大学まで行かせられる

8部屋の内、秀一とユェミー二人のベットルームと秀一のトレーディングルーム
それ以外の6つを使って良いと、何度も来てはいたが案内しながら伝えた
「家族で住んで、管理して欲しい」
「友人を加えても良い・・・・・任せる」

何と言ってもプール付きの豪邸で、花が咲き乱れる庭の管理だけでも大変な筈だった
税金光熱費も電話代も全て、秀一の口座から引き落とされる
シンガポールは国土が狭く、決して不動産は安くない
しかし、秀一はトレーダーとして図抜けた才能があり、この家もその儲けの一部だった


朝まで三人で騒いだ
そして翌朝ゾーラが帰ると、ユェミーがポツリと言った
「わたし、貴方に決めて間違っていなかった」
「この家、ゾーラへのプレゼントね」
プライドを傷つけず、貴方は優しい」

「あの様にでも言わないと受け取る訳が無い」
「そうね。貴方はいい人・・・・・わたしが好きになって当然の人」


4日後の日曜日に家族で引っ越して貰った
初めて会うゾーラの父親は秀一の10歳も下で、恐縮しきりだったが真面目そうな人だった
秀一の会社で仕事をして貰う様に手配もした
母親も祖父母も働き者に見え、心配は無さそうだと秀一は思った
三人の弟妹は、それこそ大喜び

翌日が出発と言う夜、ゾーラの家族全員が送別会をしてくれた
ここシンガポール郷土料理は、秀一にはどれを食べても美味しかった
そして、夜遅くの出発にも拘わらず、全員で空港に送りに来てくれた


飛び立つ機内のシートの窓から、ユェミーがシンガポール夜景ぼんやりと眺めている
その顔は無表情で、何の感情も見て取れない
まるで血の気のない蝋人形そのままの様な顔

殆どの人間なら、生まれ故郷を離れるのが寂しくて辛い、不安もある
特にユェミーの様に、行き先に家族も知人も居ないとなると尚更だ
秀一には、ユェミーの心の中までは解らない
しかし、顔を見る限りは悲しくも寂しくも無い様子だった


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ブログの方にも来て下さい
http://kyoka2.blog18.fc2.com/blog-entry-1.html
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このウラログへのコメント

  • ななみ 2010年07月31日 05:56

    トレーダーって何郷土料理もどんな物が出てたんだろ…美味しい料理に…送別会も良かったんですね

  • 京介 2010年08月01日 00:42

    ななみさん、トレーダーって株やドルなどのお金を売り買いをする人のこと
    私は大学の頃からしています

    魚介類の料理が多かった
    豚肉料理も辛く、私好み
    勿論、有名な「サテー」という日本の焼き鳥も

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