打算-17／小沢の打算

大野とはもう別れられないと考えていた、そんな時に封筒が届く

「このホテルは何度も使っている・・・いつの時？一体、誰が何の為？」
奈々子の考えが頭の中でグルグルと回る
携帯で撮った様子で、ボケてはいても二人の顔もホテル名もはっきり見て取れた

脅迫なんだろうか？・・・そうに決まっている
お金？・・・一体幾らなの？

写真を持つ手が見る見る震え出した
封筒の裏を見ても、当然住所も名前も書いて無い
封筒の中を見ると、Ａ４のレポート用紙が一枚入っていた


「金目当てでは無い」
「男に連絡すれば、この写真が男の会社にばら撒かれる事になる」
「旦那にも届く事になる」
「勿論、警察などもっての他と思え」
「奈々子さん、貴女が電話しろ」

たった５行のプリンターで打たれた手紙
下に携帯の番号が書いてある


「私の名前を知っている」
「彼に相談しようか？」
「いいえ駄目よ、連絡するなと書いてある」
「あぁー、どうしよう・・・・・？」

それが届いてから３日目に奈々子は決心した
「電話だけは架けみよう」
「その話し次第で彼に相談すればいい」


平日の１２時半に奈々子はその番号を押した
「はい？」
「中田奈々子、です」
「やっと架けてくれましたね」
「一度会って話しましょう・・・明日の１０時に・・・待っていますから」

明日は土曜日だった
奈々子には選択権が無い、と言う風な命令の言葉だった
しかし、馬鹿ではなく学のある話し方に奈々子は少しほっとした


お金でないのなら・・・・・私のこの身体？
それが目的なのだろうか？
週に一度抱かせろとでも要求するのだろうか？

奈々子にはそれしか考えられなかった
「きっとそうよ、それが目的よ」


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