打算-24／秀一の打算

男の下で悶えている５１歳になる女・・・大野雅恵
常務取締役・海外事業本部長、大野幸男の妻であり、会長の娘
何処から見ても５０歳には見えない
７・８歳は若く見える
金持ちの女は若く見えると言うのは本当だ

そんな雅恵から電話が有り、二日後スーダンの帰りに寄ると言って来た
先月も何かと理由付けをして３日も滞在し、６回も搾り取られた
一月以上は我慢出来ないらしく、たった１日だったが先々月も来ている
秀一が東京本社に居る時は一週間以上開く事は無く、どちらかが海外に出ている時だけだった

秀一にとっては出世の道具の一つだが、雅恵は５歳も年上だが可愛い女だった
会長の娘だと鼻に掛けるでも無く、何時も微笑むその顔は飛び切りの美女
ユニセフの仕事、と言っても無給だが、世界中の貧しい子供たちを助け廻っていた


秀一は次に社長になる大野を徹底的に調べ上げた
女に対しての独占欲はかけらも無く、惚れる事は絶対に無い
ここは私と良く似ている
自分の女房が浮気をしていても平気
それどころか、もっと遣れと勧めたい位な筈

大野の妻である雅恵と私が出来たら・・・・・あいつはどうする？
私を左遷？・・・・・いや、私の女房を、そうさ、あいつならそうするに決っている
兄弟になるのもいいかも知れない


その雅恵との出会いは、ブラジルに秀一が短期の出張をしていた時
ガイド役を遣らされた時だった
みんなが嫌がる国にも、喜んで行った・・・・・その内に出会える

そのチャンスを待っていた
初めて会った時は、何て横柄な女だとさすがに思った

「奥さん、大丈夫ですか？」
「奥さんではなく雅恵と言いなさい」
呂律の回らない言い方でそう偉そうに言う
秀一は腹が立ち懲らしめる事にした

「雅恵、大丈夫か？」
「何よ、呼び捨てにして」
「雅恵と言えと今言ったのは誰だ!!」
そう大きな声で叱り付けた
「・・・・・私」
「ほら、雅恵着いたぞ」

「部屋の中まで連れてってよ。酔っているんだから」
「だったら、お願いしますと言え!」
「・・・・・部屋までお願いします」
「よし、それでいい」


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