打算-19／半分の大きさ

奈々子が男との約束の場所に行くと、その男は声を掛けて来た
「中田さん、ですね」
「はい」
「付いて来て下さい」

電車の中でも男は一言も喋らない
行き先は一つ目の乗り換えですぐに分かった
「新横浜」
「やっぱり身体が目的だ」
奈々子は何故かホッとした

すぐ隣の男は悪者には見えず、ただ何処かで見た覚えがあった
「何処で？何時？」
分からない、思い出せないのが悔しかった

予想通り、新横浜で降りると男はホテル街に向かって歩き続けた
１０分程でその一軒に入り、奈々子も仕方なく後に続く
部屋に入ると直ぐに男が言って来た


「お金なんて要りません。ただ貴女の身体が欲しい」
「ご主人にも、大野さんにも言いません。月に２回だけ付き合ってください」
「どれ位の間ですか？」
「１年だけ」

２４回抱かれればいいのね
それならオーケーよ
「そんな約束、守って貰えるのかどうか分からない」
「僕を信用して貰うしか無いよね」

今の言い方で奈々子は思い出した
毎年行われる主人の会社の運動会だ
主人の部下の・・・名前は思い出せない
知らない事にした方がよさそうと、咄嗟に考えた

ホテルの部屋に立つ奈々子は、ベッドの端に座る男を睨め付けると話し始めた
「名前は何て呼べばいいの？」
「田中、でいいよ」
中田の逆ね、いいでしょう


「さあ、脱いで・・・素敵な身体を見せて貰いましょうか」
奈々子は平然と脱いで行った
恥ずかしがれば、男が喜ぶだけなのを知っていた
下着も取った奈々子の身体を見詰めている

「いい身体だよね、奈々子さんは・・・僕のを脱がせて貰える」
奈々子はさっさと男の服を脱がせた
ブリーフから飛び出したペニスを見て「彼の半分の大きさじゃない」と心で笑った


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