打算-27／婿

「明日も明後日も抱きに来る」
「毎日？」
「そう、気に入ったから、帰る日まで毎日抱く」
「貴方なら出来そう」
「１ヶ月続けられるよ」
「うそー」
「試してみる？」
「私の駄目になる・・・いいえ、殺される」

「嫌みたいだな」
「うぅん、嬉しいよ」
「部長は可愛がってくれる？」
「たまにね・・・他で遣り捲くっているわ」


私を気に入ってくれたか？・・・・・続きそうな予感が秀一にはあった

それが４年前の出来事だった


部長の女好きは有名だ
会長もその事はよく知っている
その会長自身も負けない位だからなのか、全く気にしていない様子だった
「家庭に仕事とセックスを持ち込まない」
これを実践している二人
それに比べ、今の社長と二人の専務にその手の浮いた話は全く無い

会長と部長は、しょっちゅう女同伴でゴルフに行っている
気が合うらしい


その事を社内の連中はみんな知っていた
会長も部長もそれを公言して憚らない
普通なら嫌われる
特に女子社員には
ところが二人とも女子社員に絶大な人気が有った

何故か？・・・・・差別が無い
男女の給与を初め、昇給も昇進も全て同じで能力次第
３０人の役員内、女性役員が１２名も居る上場会社は皆無だ

然も全ての支店、営業所に保育士の常駐する保育室を設けていた
「貴重な戦力である女子社員に、結婚とお産、子育てで辞めて欲しくない」
これが一代で大企業にした、会長の言い癖
ここらが雇われ経営者との違いか
そして、大野を５年後に社長にすると公言もしていた


残念な事に息子が出来ず、子供は雅恵だけ
その婿に会長が選んだのが大野だった
入社時の面接で気に入り、外回りの営業を５年させ秘書室長
帝王学を一から仕込む
それに答えた大野こそ、大した者だった


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