- 名前
- 京介
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- 30歳未満、未婚、ログ更新の無い方のメールお断ります。 犬猫が大好きで、勿論女性はそ...
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夢を抱いて-1/母子二人
2010年02月11日 00:14
「ママー」
向こうから嬉しそうな顔が飛んで来る
託児所の奥から翔太が危なっかしく駆けて来た
ほんの10畳ほどのスペースに、小さな子供たちが7・8人居る
ここは横浜にある無許可の託児所だ
夜の7時から夜中の2時まで、7時間子供を預けると5000円ほどかかる
週に6日預かって貰うのだが、ここはかなり安い方だった
しかし母子二人暮らしのひなたにとって、決して安い金額ではない
それでも預けなければ働くことも出来ない
勤め始めた店は時給1400円で6時間
一日8400円で、週5万円
残念だが、月20万円の昼間の仕事は無い
何の技術もないひなたにとって、年に300万円は夜の仕事以外に無かった
週末の残業があるとは言え十分ではなく、託児所に支払う金額を引くと、一ヶ月10万円はない
その金額でアパート代4万8千円や光熱費、食費・衣類など全てを賄う
母子手当ては助かっているが、ひなたにとってはギリギリの生活だった
そんな生活の中から毎月1万円を貯金している
一ヶ月10万円
これが今のひなたの生活費だった
贅沢とは分かっていても、携帯電話だけは持っている
託児所と勤務先以外かけないのだが、それでも月に4千円はかかった
自分の着る物をもう何時から買ってないのだろう?
欲しい物は一杯ある
翔太のスニーカーにズボンにスウェエット、そして玩具
自分の物で欲しい物は一つも無い
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「俺の子なのか?違うんだろう?」
その一言を聞くと、何も言えず駆け出していた
愛していた男からそう言われた
その夜、ひなたは死のうと風呂に浸かり、カッターで手首を切った
段々と赤くなって行く浴槽のお湯
少しも痛くはなかった
子供、私の子供
はっとして手首を押さえてしまった
何故そのまま死ななかったのだろう?
あの時死んでいれば、こんなに大変な思いもしなくて済んだ
死んでいれば毎日こんなに嫌な思いをすることも無かった
でも今は死ななくて良かったとつくづく思う
翔太が居る
仕事でどんなに嫌な思いをしても我慢が出来る
翔太の顔を思い出すだけで大変とは思わなくなる
夜の仕事を始めて短いとは言え、それなりにあしらい方は覚えたが、昨日のように両側から身体を触ってくる客も居る
「ここはタッチオーケーではないのよ。だーめ」
「いいじゃないか、ちょっとくらい。生娘じゃあるまいし・・・子供も居るんだろう」
胸は当たり前で、スカートの中にまで手を入れて来る客も大勢居た
「今度の週末、外で会わない?幾らならいい?」
翔太の顔を瞼に認めると落ち着ける
いつもすぐママが他のテーブルに移動してくれた
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