甘いヤツ-29／天職

「良く天職って言うよね？彼女も私も物を売るのが、天職」
「じゃ、私は？」
「解らない」
「あーあ、嫌になって来た」
「いい先生の見本を毎日見ているから、トップを狙えるよ」
「だったら頑張る」

鈴木は、２番にはなれても１番にはなれない
そんな物です



３ヶ月といった京介だったが、山下は翌月トップになった
「おめでとう。　トップやな」
「ありがとうございます」
「頑張ったな。　凄いことをやったんやぞ」
「はい」
「来月からは、みんなが君を目標にする」
「これからが、本当にしんどいんや。　油断するな、負けるな、トップを続けろ」
「２番に落ちたら、こっちに長期の出張をさすからな」
「そうやったら、２番になります」
「あほ言え。　一番以外は負けや。　６００番と変わらへん」
「解りました。　来月もトップになります」


「来月も？」
「ガタッと落ちる」
「上田君は甘くない」
「来月は上田さんが取り返す？」
「恐らく」



「悔しいやろ？」
「ええ、悔しい」
「それも、貴方が３日特訓した人」
「然も、みんなに山下さんが直にトップになるって言っていた」
「そうやな」
「今月は取り返します」
「ああ、取り返せる」
「あー、頭に来た。　今夜は搾り取ってやる」


最近はさくらのアパートで、週に何日かは泊まる様になっている京介
着替えのスーツもシャツも、部屋着も下着もパジャマも歯ブラシも、みんな揃ってしまった
どっちが自宅なのか分からなくなって来ていた
子供は４歳の男の子
おじさん、おじさんと言ってなついてしまっている


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