甘いヤツ-20／適材適所

営業が終った
「上田君と中村君とは、明日から競争だ」
「勝てません。　ハンディを下さいませんか？」
「トップの言う言葉ではないな。　・・・・・週に二度勝てば食事をご馳走しよう」
「いいかな、それで」
「ご馳走様です」
「ほー、勝つ気か？」
「はい、勿論。　月では無理でも、週の内２日だったら何とかなります」
私だって、と中村も


そうなんだ、この競争心
どうして上回ってやろう、どうして勝ってやろう？
その工夫、その闘争心・負けん気が殻を破る、伸びる
二人とも教える事なんて無い



翌日は３番と４番
３番は福岡、４番は名古屋
この二人にも教える所が無い
だから、競争
昨日と同じ

５番と６番も
７番と８番も
１０番と１１番も
それが永遠に続いた

京介対全員



一ヶ月で負けたのは一日だけだった
京都高島屋の１８番に負けた
清水さゆり
生まれも育ちも京都
京都女子大を出てすぐに入社した、今年で７年目の２９歳
この子は最初からセールスの希望
大体の大学出は接客なんて希望しない
事務職、総合職を希望する
ファッションが大好き、客と話すのが大好き

変わっている
中にはそんなのも居ます
好きだから
苦にならないから
だから売れる
京介と共通している
好きこそものの上手
この言葉は当っています


適材適所は間違いなく有る
営業は駄目、接客なんてとんでも無い
しかし、財務や企画などをさせれば抜きん出る
何でも出来る人間は、全てが出来てもそこそこで止まる
そんなものです


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