甘いヤツ-17／京介、叱る

研修の一人は銀座店から
さすがにトップは銀座です
２番は六本木
なる程
二人とも３０代の半ば
「何時もお二人が売っているブランドですね。　それは？」
銀座のトップの上田がイトゼン以外の服を着ていた
「家に帰って、何時も売っているブランドを着て、出直して来い!!」
「すぐ行け!!」

大きな声でどやし付ける京介
半分恨めしそうな顔、半分怒った顔
でも、すぐに出て行った



「いらっしゃいませ。　今日は何をお探しでしょうか？」
瞬時に京介の顔は営業用に変わった
２番がその豹変振りに驚いている
三人とも大声で叱られた事など無いに違いない
最近は旦那さんにさえ、親にさえ

客が途切れると鈴木が話して来た
「叱り方が凄かった。　周りに聞こえていたと思います」
「うん、そうだね。　トップでなければあんなに叱りつけはしないよ」
「それじゃ私には優しい？」
「ベストテンに入る様な人には厳しく言うよ」



「あのー、質問して良いでしょうか？」
「何かな？」

最初に掛ける言葉は変わらない
しかし、次の言葉からみんな違う、と言う
何かパターンが有るのか？

「うちはマクドナルドでは無いんだ」
「１００円のハンバーガーを売ってはいない」
「何十万もする、一生着られる服、子供から孫に渡せる服。だからパターン何て無い」
「客が好きな事や物、趣味、関心のある事を見つける。二人に聞くけれど、客の服を褒めた事が有る？」


二人とも無いらしい
そう、誰も競合相手のブランドを褒めたりしない
褒めれば、うん？変わっていると客は考える
他と差別、違えば興味が沸く

「差別化は大事なんだ」
「次の客で見本を見せよう」
「但し、良いもので、似合っていればだけれど」


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