甘いヤツ-19／上田さくら

弟と一緒に住めた
嬉しい
勉強もした
茶水にも入った
テレ朝にも入った
幻滅した
辞めた
色々と転職して、イトゼン
入るなり、トップ
それを８年続けている
年間では一度も負けていない
トップ中のトップ
教える事なんてある訳が無い


凄い子です
そんな事、京介はずっと後で聞かされる
聞いた時の京介の言葉

「同情なんてしないよ、俺は」
「もっと、もっと酷い人間を何人も知っている」

「同情なんて、して欲しくありません」
と、言いながら
みんなして欲しい、本当は
優しくして欲しい、好きになって欲しい
大事にして欲しい
愛して欲しい
甘えたい・・・そして愛したい

しかし、男を恨む気持が残っている間は
人を愛せない



「次の客は一番が接客してくれ」
「分かりました」

「いらっしゃいませ。　何をお探しでしょうか？」
京介と全くスタートの第一声は同じ
「羨ましい体型。　毎日ジム通いですか？」
「３日、かなー？」

さすがナンバーワン
力が抜けている、自然に入って行く
教える事が無いのが京介はすぐに分かった
あとは歳を重ねるだけ
歳をとる度に上手くなる
客を圧倒出来る
「凄い、この人」
と感じさせられる
客が客を連れてくる
客が上田に代わってセールスをしてくれる
すぐに行ける、カリスマと言われる所まで
保険を売れば、毎月１００万以上取れるのに
勿体無い

その事を京介が言った時
「そうですね。　でも保険屋は詐欺師、ペテン師集団ですから」
「それに、所詮は株屋や金貸しと一緒で、昔からヤクザのする仕事」
金融の御三家
確かに昔はやくざがしていた
するどい、さすが茶水だと考えた


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