- 名前
- たかふみ25
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- 年齢
- 40歳
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- 基本的にメル友募集ですがご近所ならば逢いたいぜ。 クリエイター気取りのバカです。 ラ...
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【魔法少女っ】33-1、さよなら松並先生
2011年09月21日 06:20
翌月曜日。
香住学園中等部の日常は大きく欠損していた。
ひとつは美術教師・松並松見先生の入院。
もうひとつは学園に笑顔を振り撒いていた高瀬小春の欠席である。
「あたし、もう笑えないよ……」
膝を抱えて引きこもる小春。
……。
「……という事になってませんの?」
それは千歳の妄想だ。
「全然大丈夫ですっ!」
と茜。高瀬家のふたりはしばらく清澄邸に住むことになったのだ。母はともかく娘は持ち前の明るさが健在のようだ。
欠席の理由は荷物整理だの片付けだの手続きだの忙しいからだ。
「学校終わったらどうしますですの?」
選択は2つある。松並先生を見舞うか、小春の手伝いをするか。
茜はどちらも選ばなかった。
「わたしはできることをやるだけです~」
病院。
松並松見の怪我は大したことはなかった。しかし、あらゆる意味での「疲れ」によって衰弱するという、不思議な状態だった。
「魔力がなくなった感じね」
松並は事故分析した。もはや、あの姿で闘う事はもうできないようだ。
「不様よね。最大の実力者と言われた私が、まさかそのチカラの暴走によって退くとはね」
手札を失った者がどういう目にあうか、彼女にはわかっていた。何度も見てきたが、実体験でないのでいまいち理解してなかった。なんだっけ。確定なのはネオバビロニアにはもう戻る事はできない事だ。
「お嬢」
生きている鎧が花束を持って現れた。律儀に花瓶に花束をさす。
「お別れを言いに来ました」
彼には辞令が降りた。空席になってしまった将軍の椅子を暫定的に委されたのだ。しかし彼には名も「存在」もない。本当に暫定的措置である。
「今まで世話になったね~」
にこと微笑む松並。
「お嬢はこれからどうする?どうしたい」
「そうね。退院したら考えるわ。でもその前に殺されてしまうかもね」
「そこはご安心を。その刺客も私が委されました」
つまり、手をかける者が信頼ある彼だから、いつ何者かに暗殺されるとかはないという事だろう。
しかし、彼は松並を生かしておきたいようだった。
「だが、その前にやらなければならない事があります。お嬢の責任を私が全うすることです」
暴走したネガイナーをなんとかすること。それが彼に課せられた最優先事項のようだ。
「既に他の2将軍は出撃して、その巨大なチカラを我が物にせんと画策してるようです。恐らく私は無事には済まないでしょう」
「そう……」
松並は窓を見た。やりたい事はもう決まっていた。しかしできるかどうかはわからない事だ。
「では、いざさらば。お達者で」
鎧は消え去った。彼の跡には溢れた水があった。花瓶の水の溢れたものだろうか。
松並には彼の涙に思えた。
「リフォームすれば、見違えますね」
サラは高瀬邸を見回して言った。
燃えたのは一階の応接室と茶の間、キッチンだが、柱や基礎や……とにかく建物を支えるものは全て無事だった。
問題は山積してるが、ひとつずつ解決していこう。
サラは清澄邸に向かった。
続く!
このデジログへのコメント
「みんないい人だよ。良かったらみんな仲良くなりたいんだよ」
「みんな敵だ。みんなにそれにしても」
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