- 名前
- たかふみ25
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- ♂
- 年齢
- 40歳
- 住所
- 山形
- 自己紹介
- 基本的にメル友募集ですがご近所ならば逢いたいぜ。 クリエイター気取りのバカです。 ラ...
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【魔法少女っ】29-2、影の濃淡【半分】
2011年09月02日 05:47
「えへへ。今日はありがとね♪」
案内を終えて、そのお礼に屈託ない笑顔を見せるかずね。
「いえいえ。どういたしましてですっ」
「わたくしも転校生だったので、初日の不安な気持ちはわかりますわ。何かあったら力になりますわ」
ある胸を張る千歳。家の事情上、彼女は移転と転入回数が多かったようだ。
「じゃあ、また明日っ」
「うん。またねです~」
「ごきげんよう」
「怪しい……」
柱の影で呟くサラ。怪しいのはお前だっ!
演劇部室。
「久しぶりの出番っ!」
カメラ目線で涙を流す演技をする麻衣子。
青柳麻衣子。15歳。中学3年生。スタイルはスレンダー型。香住学園中等部の演劇部部長。秋学園祭の公演後に一旦引退し、学業に集中するつもりである。エスカレーター式のこの学園でそういう事をするのは、進路を決めかねているからだ。
とまれ、迷っているからではない。 麻衣子には「演劇が好きだ」という明確なビジョンがある。表裏にせよ演劇に関わる仕事をしたいのだ。その為には他の進学校を目指す道も、カリキュラムや設備的に演劇に有利な学校、進学の実績は弱めだが演劇コンクールでの実績の高い学校、逆に演劇の実績が全くなくて開拓しがいのある学校、そしてエスカレーターに甘んじる選択。選択肢は多くあった方が良い。だから彼女は勉強を頑張る事にした。
その前に今度の学園祭の公演を成功させたい。それが麻衣子の願いだ。
「でもなんでなんで清澄さんが来ないのよ~高瀬さん」
小春の肩を揺すぶる麻衣子。
「先輩、焦ってるっすね~」
柔軟に揺すぶられながら小春。
「こんにちはです~」
茜が来た。
「やっとキター」
「茜、先輩怒ってるよ」
「怒ってないよ。嫉妬してるのっ」
「大まかな見方では怒ってる範疇だよ、先輩」
「どうしてです?」
「演劇部になかなか来てくんないから~。次期エースを期待してるのに~」
「先輩受験生になるから焦ってるんだよ」
「そうでしたか、すいません」
素直に謝る茜。
「だから怒ってないってば」
逆に恐縮する麻衣子。
「……で、紹介したいひとがいるの」
照れながら麻衣子は切り出す。
「彼氏ですか?」
「父さん、そんな奴との結婚は認めないんだぞっ♪」
チョビ髭をつけておどける小春。
「いえ、女性ですよ」
「女のひとですか~」
「父さん、そんなレズ夫婦認めないぞっ」
ぽかり。
「高瀬さん。縁談ではありませんよ……まあ、憧れてはいますが」
「やっぱりビアンじゃん」
というわけで高等部の校舎に引率されるふたり。
「なんか騒がしいね」
校舎内では男子が群れなしていて、その中央にひとりの女子がいた。
「噂の転校生かなぁ」
麻衣子は中等部3年で高等部校舎に頻繁に出入りするらしく、噂を知らなくはなかった。
「確かに美人さんですね」
「遠くてあんまり見えないよ」
「これから紹介するひとはもっともっと美人ですよっ」
少しむきになって先に進む麻衣子。
「あらあら♪」
噂の転校生はすれ違いざまに中等部演劇部に視線を向けた。
常に微笑みを絶やさない印象だった。
「目があっちゃったですっ」
「デレるなっ」
そんなこんなで演劇部室(高等部の)に着いた三人。
「香住学園中等部の演劇部ですっ失礼します」
襟を正すようにして、麻衣子は部室に入った。
「わーい。麻衣子ちゃんだぁ~」
緊張感は一瞬だった。再会に喜ぶ演劇部員たちに揉みくちゃにされる麻衣子。
「……よく来たわね」
片隅で本を読んでいる女性が、クールな声で言った。
「はじめましてですっ」
がちがちにお辞儀する茜と小春。
「……逢いたかったわ。……香住学園高等部演劇部部長、月山有希よ」
そう名乗ると本を畳み、部室を出ようとした。仕草で「ついてらっしゃい」と茜たちを招く。
高等部の学食。
「好きなものを飲みなさい」
有希はコーヒーブレンドミックスを何種類も並べて言う。なんかケチ臭い。
「あ、ありがとうございます」
無難にカフェラテを選ぶ茜と小春。
学食からコップを借り、湯を注ぐ。
「……じっくり話したかったのよ」
「改めて、中等部の演劇部の清澄茜ですっ」
「同じく、高瀬小春です」
「……知ってるわ」
「ですよね~」
多分、麻衣子からさんざん話を聞いているのだろう。
「…演劇部の件もあるけど…今日は別の話よ……」
「え?」
続く!
このデジログへのコメント
なんと足跡ゼロ。
麻衣子たんの影の薄さは異常
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