- 名前
- たかふみ25
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- 年齢
- 40歳
- 住所
- 山形
- 自己紹介
- 基本的にメル友募集ですがご近所ならば逢いたいぜ。 クリエイター気取りのバカです。 ラ...
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【魔法少女っ】30-3、自分磨きしてますか?
2011年09月08日 04:41
その翌々日。
「千歳ちゃんは、もう大丈夫っ」
と胸を張ってかずねが言うので、茜と小春は千歳のいるクラスに逢いに行ってみた。
「やあやあ、おはよう!」
なんと、伊藤洋華堂の紙袋を被った、口調の違う千歳がいた。
「全然大丈夫じゃない~~!」
ガビーンなふたり。
「わたしは千歳ではない。鞍馬天狗だ」
独特の言い回しで、千歳が言った。
「ええっ!千歳って鞍馬天狗ですか~?」
「茜、馬鹿かお前は」
すこーん、雪平鍋で突っ込んだ小春。
「改めまして、おはようですわ」
紙袋を脱いで、千歳は挨拶した。
「あれ?天狗様はどこへ行ったです~?」
キョロキョロ探す茜。
「おはよう千歳。茜、馬鹿かお前は」
すこーん
「きっと天狗だから、俊敏に跳びさったんだよ」
茜の言動にフォローするかずね。
「いや、天狗様はわたくしですわ」
「知ってるよ」
笑う小春。
「実はわたし、魔法騎士カーマインなんですっ」
「それこそみんな知ってるよ」
あはは笑いする小春。
「実はボク、スズノネセブンなんだよ、デュワっ」
「なんじゃそりゃ、かずね」
「これですわ」
さっさと話しを進めようと、千歳は台本を出す。
「これ、若草とちゃうやん」
回想。
千歳がかずねに励まされた翌日に当たる日。
意を決して千歳は演劇部室に入った。
「麻衣子先輩、お話がありますわ」
「待ってましたっ。いやはや最後はここに来ると信じていたですよ~」
感激の涙を流しながら、麻衣子は千歳の手を握った。
「いつもならば受けながしますが、今日は間に受けますわっ。ありがとうございますわ。…わたくし、考えましたの。…しばらく、演劇だけに打ち込みたいと」
「え?結論出して来ちゃったわけ?偉い子だなぁ~なでなで…。でも相談してからでも結論は急がなくて良かったですよ」
むぎゅ~と抱きしめる麻衣子。
「ありがとうございますわ。先輩」
「というわけでこれよ」
麻衣子は予め、千歳のために台本を用意していたようだ。滞りなく渡す。
「鞍馬天狗」。闇の暗殺者を描いた、痛快時代劇だ。もちろん、舞台にしやすいようにアレンジを効かせている。
「練習用の台本よ。一通り読んでみてね。きっと、羽前さんのチカラになるわよ」
回想終わり。
「で、どうしてこうなったー」
再び紙袋を被る千歳。
「小春殿。演劇は形から入り込むものですぞ。うふふふ~ややこしや~ややこしや~」
「天狗様だ~。カメラカメラ……」
ごそごそ。
ぱちり。
四人で写真を撮る。かずねが少し申し訳なさそうな様子になったのに小春は気付いたが、そっとしておいた。
写真部。
一方で、いろんな部に出入りして自分を研く茜。
今朝の写真を現像してみた……。
「やっぱり心霊写真です~。わたし、下手くそです~」
どうしても歪んだ写真になってしまう。写真は心を写すという。撮影者な自分の心が歪んだというのか。
「それは違うな」
部長たるつかさが横から言った。
「これを見てくれ」
どさどさっ。
「これは……」
全部歪んだ写真であり、共通項があることに、茜は気付いてしまった。
「そう。俺たちはこの度転校してきた者全員をチェックがてら写真に納めてきた。そして、このふたりだけが歪んでしまうのだ」
写真じゃなくて、動画撮影をプリントしたものをホワイトボードに貼り、ペンで情報を書き込む。
「ひとりは城西和音。茜のクラスに来た娘だな。そしてもうひとり……」
かきかき
「東原琴。高等部2年に転入してきた噂の君だ。かなりの美貌で写真部にもリクエストが寄せられていたんだが、このざまだ」
茜はつかさが撮って来た写真を良く見てみた。琴とおぼしきひととその周りばかりが歪んでいて、他のひとやものはクッキリなのである。
「つまりこのふたりは……」
ゴクリ。
「写真に撮られたくないんだ」
「あはは。何を言うんですかつかささん」
「笑い話ではない。怖い話だぞ」
「……」
並大抵の怖い話ではどうじないが、つかさが母から聞いたというその話は、茜を戦慄させた。
続く!
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