【魔法少女っ】32-5、ちょい足しレシピ

「魔法騎士、だと？」
麻衣子を見据えるかずね。
「あらあら、すごいわね～」
おっとりと構える琴。
「な～んちゃって♪」
「ズコー！」
転けるふたり。
「待ってろよ、茜、小春、千歳っ！わたしがあなた達を助けて見せるっ」
気合い入って高瀬邸に駆け込む麻衣子。
「あらあら、若いって素晴らしいわぁ～」
「姉者、それよりもボク達はやるべき事を」
大量発生したネガイナーが、空中に飛び、街じゅうに拡散しようとしていた。このままでは街じゅうに悲しみが拡がってしまうだろう。
空中戦はふたりの得意分野だ。
「ホイップホッピング！」
ぼよよ～ん
琴の魔法で、カッコ悪いが一瞬で空に舞うふたり。

呆然としていたが、痛みにより意識を取り戻す三人。
部屋じゅうのありとあらゆるものが壊されていた。
「ネガイナーネガイナー」
ネガイナーの群れは三人に容赦ない敵意を向けてくる。
「どうして松並先生がカードをです？」
「多分、あたしみたいに拾ったんだよ」
「それにしては枚数が多いですわ」
「ぴよぴよ、ぴよぴよ」
小さなからだでアドルフは懸命にネガイナーの群れと闘う。
嘗てネオバビロニアの将軍だった彼には、複雑な心境もあろう。
「ぴよぴよ～っ」
しかし、あえなくアドルフはやられてしまい、地面に叩きつけられる。
「茜っ！小春っ！千歳っ！…はぁはぁ…」
名を呼びながら、麻衣子は部屋にやって来た。
「麻衣子先輩！」
「……ん。来ると信じてた」
「これは有希先輩！居てたんですかっ」
「……避難しそびれた。……わたしどじっこ……てへ」
わざとらしく言う。要は三人を見守りながら麻衣子を待っていたようである。
「こんなところに剣が！よし！」
カーマインスォードを見つけた麻衣子はそれを引き抜き、ネガイナーの群れに立ち向かった。
「ぴよぴよっ」
驚くアドルフ。どうやら誰でも扱える代物ではないらしい。
「たぁっ！とりゃあ！」
それにしてもドレス姿で剣を振るう麻衣子は美しい。
「……さ○」
ピー入りましたっ！
有希も殺虫剤を持って、ネガイナーと闘う。
「わたし達も行くですっ！」
「うんっ！」
「うぃうぃっしゅりいんかーねーしょん！」
ピカー
「まじかるスターライトっ！」

空中。
「あらあら、やっとこやる気を出したみたいね～」
下の様子を察して、琴は微笑む。
「ケーキケーキ！」
「姉者、危ないっ」
ざしゅうう！
「自分で作ったケーキを斬るなんて、ちょっと嫌だわねぇ。うふふ」
いわば尻拭いなのだ。
琴が作ったスイーツには若干の魔力があった。それにカードが反応して暴走してしまったのだ。
「ええい、あと何枚だ」
次々とネガイナーを倒すかずねだが、残りがどれくらいか忘れてしまった。ちなみにデッキトータルで62枚である。
「サンセットクラッシュ！」
「メガアンジェラス！」
「ストームパーカッション！」
「……ミストスプレッド(殺虫剤ぷしゅ～)」
「真っ向、空竹割りっ」
ちゅどどど～ん。
部屋じゅうのほとんどのネガイナーを浄化したが、討ち漏らしたカードが窓の外に逃げる。
「もっ。戻りなさいっ、ネガイナー」
松並松見がデッキケースをかざしてカード達に呼び掛けるが、応じようとしない。
「合体！ネガクロス！」
それどころか、一枚の大きなカードになってしまった。
「キ～ング、ジョーカー！」
わけわからん仮面ヒーローの姿になったネガイナー。
股間からビームを発射して、松並を撃つ。
「くはっ」
ばたり。
「松並先生！おいネガイナー、もうやめろクポー！」
久保田が彼女を抱えあげ、キングジョーカーネガイナーを睨んだ。
「ならば聖杯を渡せ！」
そう言い残し、飛び去るキングジョーカーネガイナー！

「あらあら、取り逃がしたわね～うふふ」
「姉者。帰ろうよ。ボク達お腹が空いたよ」
口調がめちゃくちゃになったら、ダークコードの潮時なのだ。

まぁいろいろあったが、パーティは松並先生の病院行きと、高瀬邸半焼という残念な結果になってしまった。
「○庵、なくなっちまったよ～」
またピー入りましたっ。それくらい残念がる春夏。
ちなみに香住街の郊外に綺麗な三角屋根の空き物件は、ない。

続く！って終わり方。