- 名前
- たかふみ25
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- 年齢
- 40歳
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- 山形
- 自己紹介
- 基本的にメル友募集ですがご近所ならば逢いたいぜ。 クリエイター気取りのバカです。 ラ...
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【魔法少女っ】30-2、落ち込むお嬢様【命だっ!】
2011年09月07日 07:20
「くすんくすん」
人前では泣かず、誰もいないところで泣くのが羽前千歳だ。
放課後からしばらくして誰もいない学食で、千歳は泣いていた。
万が一に備えて、メイドのサラが見守っている。
「ええい、そこな曲者っ!」
「あんたの方が曲者だよっ!」
あーあ。突っ込んだら負け、なのに。ついに突っ込んだひと出たよ。
「ええい怪しい奴め。ここから先は一歩も通さん」
「みんなの学食を勝手に占領して理不尽なのはそっちだよっ」
「……?」
千歳はサラが誰とやり取りしてるか気になった。
「ええい、わたしどもを誰と知っての狼藉かっ」
「そんなの知らないよ。ボクこの街に来たばかりだもん。ただ、泣いてる友達をほっとけないよっ」
口調と声でやっとわかった。かずねだ。
「ええい。お嬢様は立場上もキョウジ上も、人前で涙を見せるわけにはいかないのですよ」
「サラ!そこまでですわっ通してあげて」
「しかしお嬢様……」
「わたくしが良いと言ってますのよ!」
サラは不承ながらも、通せんぼを解除した。
「千歳ちゃんっ!」
かずねは千歳のいるテーブルに駆け寄った。
「かずねさん。どうしてわかったんですの?」
「ボクはやっとこわかったけど、みんな知ってるよっ!千歳ちゃんが元気ないって」
人前で泣かない故に伝わってしまう事もあるのだ。
「ボクは、ほっとけないよ。ボクも千歳ちゃんのチカラになりたいんだよっ」
そんな事を言ってくれるのは……。
「小春みたいなことを言うのですわね」
「あはは。ボクは小春ちゃんとは違うよっ!」
微笑んでかずねは言った。
小春及び茜はもはや密着的に、千歳と近距離であって、それ故に言えない事がある。
「でもボクはまだそこまでではない。だからこそできる事があると思うんだっ」
「ありがとうかずねさん。でも言えないですわ……」
「長年魔法少女として陰に日向に世界の平和を護ってきましたのに、ここに来て挫折を味わっている、なんて言えませんわっ」
言った。だが、転校間もないかずねにとってはちんぷんかんぷんでわからないだろうからこそ言えたのだ。
「うん。うん」
「しかも新手の同業者が現れて、こちらお役御免的な立場になってしまいましたのよ。わたくしが闘ってきた3年はなんだったんですのっ」
ますますわからないだろう。
「うん。うん」
わからないなりに、かずねは理解を示そうとしている。
「ありがとう、千歳ちゃん。話してくれて」
手を握るかずね。
「大丈夫だよ。誰も千歳ちゃんを悪く思ってないよ。もし魔法少女でなくても、千歳ちゃんは、これだけは譲れない何か、あるかなぁ。あったら良いな」
「ありがとう、かずねさん」
千歳は素直にさらりと涙を流した。
「あらあら。相変わらずのお節介ねぇ~。かずねちゃんは。うふふ」
学食の外にいる影は、高等部で噂の美少女転校生だった。
続く!
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