穴馬馬券を的中させた、女の穴を独り占めにしてしまい…（その４）

（その３より）僕も、通りの反対側から小走りに此方へ向かってくる女性が、待合せの相手と確信し、小さく手を上げながら、彼女の方へ近づいた。

彼女は、ショートカットで小柄ながら、細身で、すらりとした体形であり…

二度と忘れられないような美貌の持ち主であった。

名前を彩花（仮名）といった。

彩花は、わざわざ車で迎えに来ており、僕をその車が止めてある、駅の近くの駐車場へと向かった。

彩花の車は、比較的大きなワンボックスカーであった。

車の中にも…

ブエナビスタ、カレンチャン、オルフェーブルなどの、ＧⅠレースに出場する競走馬の写真や、あるいは、それを形どったマスコットなどが、所狭しと貼られていたり、飾られていたりした。

彩花によると、僕を車で、その土地の競馬場の近くのレストランへと連れて行ってくれるとのことであった…

途中その競馬場の近くを通り、彩花は

「ここが、○○競馬場よ」

と、教えてくれた。
JRAのレースをたしなむ方なら、恐らく誰でもご存じの競馬場であろうが、僕はその競馬場へは、行ったことがなかった。
その大きな構えから
「大きいんだねえ」
と、感嘆の声をあげると、彩花は

「そうでしょ」

と、僕を見て、微笑みながら返してくれた…（その５へ続く）