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第二部   旅立ち

2010年03月10日 01:05

第二部   旅立ち

第六節  佐藤先生


夢を抱いて-28/いつも一人

ひなたは父親に愛情を感じた事は一度も無かった
妹が好きで私は嫌いなんだ、ひなたは小さい頃からずっとそう感じていた
父だけでは無く、母にもそう感じた
妹は成績も良く綺麗だった
だからだ、そうずっと思っていた
しかし、母と父二人の秘密が出来てからは、それが薄らいだ様な気がしていた



小学校に入った時には、クラスで一番背が高かった
男子生徒より高く、それをみんながからかった
男だけでなく女の子からもからかわれる
苛めがずっと続き、友達は一人も居なかった
母にも先生にも無視された
5年の時には胸も大きくなり、母に頼んでもブラを買って貰えなかった
仕方が無く、なるべく小さめのシャツを毎日着ていたが、夏は恥ずかしかった


6年の担任だった佐藤は、ひなたに優しく庇ってもくれた
5人の男女に囲まれ苛められていた時、先生が大声で叱り付けてくれた
初めてひなたは人を好きになる

6月の雨の降る昼休み、その47歳の教師に話があるからと、二日後の日曜日に待ち合わせ時間と場所を伝えられた
前々から好きだった「先生と二人で話が出来る」
ひなたは嬉しくて嬉しくて、その二日が待ち遠しかった

約束の場所に行くと、教わっていた車がポツンと停まっている
ひなたは思わず駆け出してしまう
車に乗ると直ぐに動き出した
山麓にあるひなたの町から山をどんどん登って行く
「山の頂上の見晴らしのいい所で話そうか」
一時間は走っただろうか
リフトが直ぐ下にある、確かに景色がいい場所に着き車が停まる


「どうだ、今も苛められている?」
「先生が叱ってくれてから、苛めはもう無いけど・・・」
「みんな私を無視してる」
「そうか。先生が味方して上げるからね」
「ありがとう」

「それにしても、根上は胸が大きいね」
恥ずかしい

「いいかい。女は胸が大きいのはいい事なんだ。他の女子生徒が苛めるのはそれが羨ましいからだよ」
「そうかなー」
「そうさ。先生がどれ位大きいのか測ってあげるよ」


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