シェア-7／何となく

ドアをノックすると
「お母さん何？」と元気な返事がした
部屋に入る咲希
息子の大翔は実の子では無い
夫である大貴の１０年前に死んだ前妻の子供
その事は大翔も話して知っている
それなのに、本当の母親と思ってくれている
話したのは、中学に入る丁度二年前だった
夫の大貴と大翔を前にして二人で話した


「やっぱりそうか」
「気が付いていたのか？」
「何となくなんだ」
「そう・・・それで悩む事は無かった？」
「少しは悩んだよ。でも、やっぱり僕のお母さんだと思った」
「本当の事を聞いて今、大翔はどう思う？」
「本当のお母さんさ」
「有り難う」

大粒の涙が止まらない
気が付くと、大翔を抱き締めていた
「一つ聞いていい？」
「ええ」
「もう一人のお母さんは生きているの？」
「１１年前に白血病と言う病気で死んだんだ」
「そうか」
「それで僕のお母さんになってくれたんだね？」
「そう」
「有り難う、お母さん」
一度止んだ涙、またドッと出て来た


「学校はどう？」
「勉強の成績は知っているでしょう？」
「ええ、良いのは知っている」
「いじめは？」
「しないし、されてもいない」
「友達とかは？」
「多いよ。しょっちゅうここに来るから、知っているでしょう？」
「えぇ、ガールフレンドは？」
「仲の良い子は居る」
「ひょっとして、彩花ちゃん？」
「うん」
「キス位はもうした？」
「・・・そんな」
「まだなのね？」
「まだ」


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