シェア-5／私、強いんです

うん？
近くに誰か居る
慌てて横を見た
サイドテーブルの小さな電気を点けた
紫野さん？
向こうを見て寝て居た
デジタルの時計を見ると６時半
何でよ
ここに来た事も、お店を出た事も思い出せない
頭を思い切り振った
痛い、じゃない


されてしまったの？私
ああー、どうしよう
初めてのデートで？
尻軽、安っぽい、女だ
あー、嫌だ
紫野さんの頭の後ろをずっと見ていた
どうしよう？
ここまま、黙って帰る？
うん、それが一番いい
立ち上がる


「あーあ、眠い・・・やっと起きたの？」
あっ、起こしてしまった
「おはよう」
「えっ、えぇ」
「大変だったよ」
ベッドに座った
「住所を聞いても、言わないし」
「ただ、一人住まいだとだけは何回も言っていた」
「そうなの？」
「えぇ」
「そうでは無かったら、ご家族が心配する」
「歩けないから、肩に担いでここまで来たんだ」

「ブラジャーのホックだけは外したよ」
「胸も何処も触れてない」
グルグルとまた考えが回る
遣られていないみたい
良かった
うん？腹が立って来た
何処にも触れてない？
この胸に　触りもしなかった？
何て失礼な奴
プライドが傷付くわ、もう
何を考えているのよ、この馬鹿


「ご免なさい・・・有り難う」
「いいよ。私が悪い」
「お酒を止めるべきだった」
「私、強いんです」
「そうだね、確かに強い」


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