シェア-4／離しては駄目

「上手いでしょう？」
「えぇ」
「これだけ唄える人はまず居ない。うちには、かなり歌の上手い人達が来るの」
「私が昔歌手をしていたから・・・・・売れなかったけれどね」
「その中でも、断トツの一番。その辺りのプロより巧い」
「貴女も上手い・・・だから似合うと言ったの」
「彼はね、デュエットは絶対に誰とも唄わない。私とも唄ってくれない、１０年間一度も」
「貴女となら彼、唄うかも知れない」

「それと、もう一つ」
「まだでしょう？」
「えっ、何が？」
「まだ、寝ていないでしょう？」
「はい」
「離しては駄目。あれ程の男は一生に一度出会うかどうか」
「この商売２５年の私が言うの」
「馬鹿だけど、男を見る目だけは有る」


腹が立って来た
お酒も歌も勝てない？
初めてなのよ、こんな事
もう頭に来る
いいえ、頭がグルグルと回っている
目も回っている
何で？
飲み過ぎた？



気が付いた
見慣れない天井が見える
頭が痛い
ここは何処なのよ？
えーと、そうだ
紫野さんと中華を食べて、スナックに行ったんだ
彼、凄く上手かった


「私とデュエットを歌って頂けますか？」
「はい、何がいいですか？」
「愛が生まれた日」　　「ふたりは」　　「愛してる」　　「夢の途中」
そして「忘れていいの」
５曲も一緒に唄った
そこまでで記憶が無くなっている
えっ、ひょっとして
手で胸を掴んだ
下に手を降ろしていく
うん？・・・スカート
恐る恐るスカートの中に手を入れた
パンスト履いていた
胸が変
もう一度胸に手を持って行く
ブラのホックが外れていた


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