【魔法少女っ】40-1、オールコット争奪戦！

弦が切れたなら、張り替えればいい。

「改めまして、香住学園・学園祭本日のメインイベント。演劇部とけいおん部その他有志による合同で「新・若草物語」です」
なんと小春の演出は、出場を諦めていたけいおん部や、ノーゲームになって悔しいミスコン出場者を抱き込んでしまうというものだった。
演劇部の劇が進み、然るべきシーンに差し掛かったら、そのシーンに合う楽曲をけいおん部が演奏する。一風変わったミュージカル的手法だ。
ギタ次郎でしか弾けない平元優衣のために、小春はギタ次郎の切れた弦を張り替えて直した。
この演出に乗り気でない麻衣子も、元々歌の素要あって、遂にはけいおん部とセッションしてしまった。これをアドリブでこなすのだから、さすがである。
社交ダンスのシーンではミスコン出場者達が華を添えた。
千歳は事態変化に柔軟に対応し、茜も計らずの大舞台の主役をのびのびと演じきった。
ステージ発表は大歓声に包み込まれる。
「アンコール！アンコール！」
「ちょっ。演劇にアンコールなんてな……」
「あるよっ」
小春はにこっと笑う。
「おっけー！いくよギタ次郎！」
アイコンタクトで了解した優衣は軽やかにギタ次郎を演奏する。
「本日の出演者！」
なんと、カーテンコールをアンコールに利用したのだ。
「最後はみんなで歌おう！」
「お、おー！」

「……それにしても、琴は参加しなかった。……なんでだバカ野郎」

一方その頃。
異世界ワッフル。
その大地に久保田隆義、いや妖精クポーは立っていた。
「よくぞ戻ってきた、クポー。今のお前ならば、アレを使えるやもしれん。試練を越えて取ってくるのだ」
「はいっクポー」
「いや、今、駄洒落言ったのじゃが」
ワッフル西の国の長老の課した試練を受ける本気でクポーの心はいっぱいだった。
「魔法騎士の力を高めるという箱、オールコット……手に入れるクポー」
クポーはカードを示し、そこから巨大な剣(バスタードソード)を召喚した。久しぶりの召喚である。クポーしか扱えない剣だ。
「目指すはロンデニオン山の神殿！行くぞヴァトラス！クポー」
「ラーサ」
ロンデニオン山の険しい森を切り開き、クポーは進んで行く。
後ろについてくる影があると気付かずに。

続く！