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koe

2011年07月22日 12:28

翌日
ベッドに入るとやっぱり携帯の着信音が鳴った。
美里は恐ろしくて携帯に手を出せない。
お気に入りミュージックが部屋中に鳴り響いていた。
早く止まってくれないかしら・・・
そう思いながら布団の中に潜って、鳴り止むのをジッと待っていた。
こんなことなら電源を切っておけば良かった・・・
恨んでみても後のまつりだ。


やっと鳴り止んだ携帯を手にしてみる。
“非通知”の文字が画面に並んでいた。
念のため携帯の電源を落とし、もう一度寝ようと試みる。
ようやくうとうととし始めた頃、あの声が聞こえてきた。



「さあ、カーテンを開けて・・・」


美里は重いカーテンを開く。



レースも・・・」


続いて白いレースカーテンも開いていた。
目の前には昨日と同じ風景が広がっていた。
美里は道を挟んだ正面にあるマンションの一室に目を凝らした。
一瞬何かがキラッと光ったのだ。


(だれ? 覗いているのは誰?)



「部屋の明かりをつけて・・・」


「そうじゃなくて部屋中の明かりを・・・」


美里は昨晩と同じ動作を繰り返す。
目の前にはもうひとりの自分が映っていた。
ただひとつ違うのはパジャマの柄だけだ。
お気に入りストライプパジャマは昨夜汚してしまっていた。
今日のパジャマは白地に赤い花が散りばめられていた。
東京へ出て初めて彼氏ができた時、購入したものだった。
自分の好みを曲げて、できるだけ女性らしい柄を選んだのだ。
美里は自分には似合わないと思っていた。
だが、目の前にいるもうひとりの自分(彼女)はひどく可愛らしい。


(いいな・・・花柄が似合って)


心の底から羨ましいと思ってしまう。


(こんな娘といっしょに暮らしてみたい。そして・・・)



「さあ、パジャマボタンを外すんだ・・・」


携帯から声が聞こえた。

目の前にいる彼女ショーツだけの姿になっていた。
せっかく似合っている花柄のパジャマは横に脱ぎ捨てられている。
スレンダー上半身に小さいながらも形の良いバストが並んでいる。



「何をしている・・・さあ、乳・房を握りつぶして」


携帯の声に彼女は「はい」と呟くと両手で乳・首を隠すように上品バストを押しつぶしている。
恥ずかしいのか少しだけ顔を横に背け、横目で美里を見つめている。
その姿が年齢以上の色気をかもし出している。


(見ないで・・・そんな目で見ないで!)


「あう・・・」


まるで自分の乳・首を摘まれたような刺激が走り、美里は思わず声を出してしまう。



「思うようにしてごらん・・・」


携帯の声は残酷なことを言う。


(こんな可愛い子になんてことを・・・)


美里は怒りさえ覚えはじめた。


(だめよ!言うことをきいてはだめ!そんなことをしてしまったら、貴女は・・・)


しかし美里はそれを口には出すことはしなかった。


(でも見たい・・・私も見てみたい!きっと・・・)


もっと綺麗になるであろう彼女を最後まで見てみたい。
そしてそんな彼女に見つめられたい。
美里はそんな欲望に支配されようとしていた。


(どうするの・・・?)


彼女左手乳房に置いたまま、右手をゆっくりと下降させる。
ふたつの瞳は相変わらず美里を見つめたままだ。


(あ~、しちゃうの?)


右手が小さなお臍を通り過ぎ、何の飾り気もないショーツの縁へたどり着く。
そしていったん動きを止めた。


(・・・どうするの?)


一番長い中指の爪がショーツの下に隠れていた。
美里の身体に灯っていた小さな炎は大きくなっていく。


(熱い・・・あそこが熱い)


「早く・・・」


美里は乾いた唇を舌で潤しながら、そう言った。
同時に目の前の彼女美里に向かって何か呟いている。


(なに? 何て言ったの?)


美里は目の表情だけで聞いた。

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