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かんのう小説

2011年07月04日 11:31

「あの、あの幸介さん、もう少しいっしょに・・・いえ、抱いてもらえませんか?」


小さな声で聞く。
精一杯の勇気だった。
今日までの3週間を思い出し、同じ思いはしたくなかった。
あんな想いをするならと、勇気を振り絞って言った。


「・・・」


幸介は黙っている。


(何か言って。幸介さん何か言って。)


沈黙が怖かった。
幸介の顔を見ることができない。
ドクンドクンと心臓の音が聞こえそうだった。


(私がいけないんだ。私があんな男と会っちゃたから・・・)


猛烈な後悔が倫を襲った。


(ごめんなさい。ごめんなさい・・・)


心の中で何度も謝った。


「倫さん」 


幸介がよぶ。
倫は顔をあげられない。


「倫」


もう一度呼ぶ。
今度は呼び捨てだ。
倫は恐る恐る顔をあげて、幸介を見る。
そこにあったのは、満面の笑みだった。
そして、「じゃあ、行こう」そう言ってくれたのだ。
倫の緊張は、いっきに和らいでいった。



店を出た二人はまたしても、腕を組んで歩いた。
倫は思い切ってワンピースボタンをひとつ多く外した。
長身の幸介からは乳房がよく見えているはずだ。


(はやく、はやくホテルに誘って・・・)


倫は祈るような気持ちで願った。
もう、股間は濡れてしまっているはずだ。
ふたりはきらびやかネオンが瞬くホテル街に差し掛かった。


(えっ、こんなところなの?)


倫は素直にそう思った。
いきなり立ち止まると、幸介は倫を強く抱きしめ口付けをしてきた。
一瞬で思考はストップする。
あたり構わず、倫も幸介の背中に両腕を回し、自分から求めていった。
熱いキスは5分も続く。
倫の下半身は力を失いそうだ。


(幸介さん、早く、私もう立っていられない・・・)


幸介が選んだのは、一軒の古い連れ・込み旅館だった。
シャワーもなく薄い布団が一組敷かれているだけの部屋だった。
どうして、こんな汚いとこ・・・と思うのだが抵抗する余裕は今の倫にはない。
もう早く、身体を重ねたかった。

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