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かんのうしょうせつ

2011年07月06日 10:00

いちど崩壊し壊れかけた心が再度身体と繋がると人間として機能を開始する。

その連結が強固なものであれば、完成された大人と成長し、人間としての幸福を手にすることができる。

ときに、それが女性であった場合、母なる母性が目覚め、男を大きく包みかばうことも可能となる。




旧式エアコンの騒々しい音で倫は目覚めた。
隣には幸介が寝息を立てている。
ここは古い連れ込み旅館の一室だった。
薄い布団は汗と愛・液と幸介の精で汚れていた。
かび臭く湿った空気とそれら体液の臭いが混ざっていた。
今日、倫はふたりの男をその身体に受けていたし、布団のわきに大きな玩具が転がっている。
非日常的な光景だった。
昨日までの倫と大きく景色が変わっている。

倫は幸介の寝顔を見ながら振り返った。



・・・



どうして幸介と出会ったのか。
幸介と出会ってから苦しい日々だった。
もう、あんな思いは嫌だ。
あんな思いをするくらいなら、いっそ横に寝ている幸介を殺してしまいたい。


今は幸せなのだろうか。

私は何を望んでいたのだろう。
どうして、あんな男とホテルなんかに行ってしまったのか。
強引に挿入されて感じてしまった自分に驚いた。
私にそんな願望があったのか。
考えてみれば、さっきだって黒木に犯・されていると思った。

そして、理性を失ってしまった。
大きな声で黒木の名を呼んだ。

幸介の前で呼んでしまった。


幸介は怒っただろうか。
幸介に嫌われてしまわないだろうか。
それより、私たちは交際しているのだろうか。
私は、私は幸介が好き。

それは間違いないことだけど、幸介の気持ちはまだ聞いてない。



でも、さっきは素敵だった。
私の身体を求めてくれていた。
「倫」って呼んでくれた。
私の中でヒクヒク動いてくれて気持ち良かった。
あの時は頭が白くなって何も考えられなかった。


視界の片隅にディ・ルドがあった。
倫は視線をそ移し手を伸ばした。
(大きい・・・丁度幸介さんのくらいかな?)
再び下腹部に熱を帯びる倫だった。

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