打算-66/役員の妻

「今、人事の実際のトップは中田がやっている」
「だから中田に紹介するから、頼む事だ」
「どうすればいい？」
「２階の倶楽部のメンバーの内、一体何人が人事の役員と寝ていると思う？」
「１０人や２０人じゃ無い」
「梨佳の武器を遣え」
「嫌よ!!　私には貴方が居るのに・・・・・・だってそんな事をしたら」

「いいか、私はそんな事を気にせん。中田に抱れてもだ」
「本当？」
「私は誰と結婚した？あいつに惚れた訳じゃない」
「このまま続けてくれる？」
「当たり前じゃないか。こんないい女を手放すものか」
「でも・・・」

「でももくそも無い。決定は来月末だぞ」
「私は貴方に惚れてるのよ!!」
「そんな事は分かっている。セックスは秘め事では無いと言ったのを忘れたか」
「覚えているわよ!」
「私は旦那を推している。しかし、中田は違うんだ」
「そんな事言っても、嫌よ」
「旦那を役員にしたいのなら考えろ」
・・・・・２階のメンバー、役員の妻


大野とこれだけの関係にならなければ、梨佳なら迷うことも無かった
しかし、大野に人生観すら変えてしまう程のセックスをされてしまった
主人の出世の為にこの身を使ったが、もう主人の出世より大野になってしまっている

周りの人達の嫉妬の目、特に仲の良い大学時代の友人たち
その一人、容子のご主人がこの春部長になった
彼も上場会社だけど、年齢がうちのより６歳上で確か５０歳よ
顔では笑っていたけど、私悔しかった
容子なんかに負けたくない
それを考えると元来の性格が頭をもたげて来る

「分かったわよ、遣らせればいいんでしょう!!」
「ああ、俺がセットしてやる」



「ほー、小沢君は幸せ者だ」
「はぃ？」
「貴女の様な綺麗な奥さんを貰って」
・・・・・彼に負けず口が上手いこと。然もなんていい男なの

「この前パーティーでお見掛けしましたが、奥様が私羨ましい」
「それは、有り難い褒め言葉だ」
「いいえ、本心」
「社長から聞きましたが、私に何か話が有るとか」


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