穴馬馬券を的中させた、女の穴を独り占めにしてしまい…【PART２】（その３）

（その２より）ここでタブレット端末を操作するのは、危ないからやめた方がよいと僕に指摘された彩花（仮名）は、端末を自分の胸の中で抱き締めるようにして持つと、僕の方を見て

「そうね…」

と微笑みながら声にした…

競馬場に向かう人だかりがますます増え、彩花と僕は、中々正門へ近づくことができなかった。

人を掻き分けるようにして、漸くパドックへと辿り着く事が出来たが…

こちらも人だかりで、馬を見ているのか、人を見ているのか良く分からなかった。

彩花と僕は、仕方なくメインスタンドへと向かい、何とか二人分の席を確保すると、そこに座り込んだ。

そこで再び、彩花は先程のタブレット端末を大事そうに取り出すと、それを開き、あるホームページへと進んだ。

すると彩花は、ある動画へとアクセスをしはじめた。

そこには…

先程、人だかりで良く見えなかったパドックの様子が撮影されており、これから出走する競走馬の様子をはっきりと映し出していた。

彩花は、その様子を見た後、再びタブレット端末を操作すると、何やら細かい、競走馬のデータ表を手繰り寄せていた。

色々と見た上で、彩花は、その端末を見ながら

「ああ…やっぱりね」

と呟き、その後、隣に座る僕の方へ身を乗り出すようにして、このメインレースの予想を語り始めたのであった…（その４へ続く）