夢を抱いて-71／身体だけ

「新しいおばあちゃん？」
二日にやって来た息子家族の子が首を傾げている
それはそうだ
ひなたは息子の嫁より歳が二つ下なのだから
お母さんより若いおばあちゃん、子供には理解出来ない

娘は来なかった
仕方が無い



「今日は姫初めね。どうして欲しい？」
「普通でいいよ」
「貴方の普通って？１１歳で私を抱いて、高校ではお尻に入れて・・・この時も貴方は嘘を吐いたのよ。痛くないって」
「痛かったよな」
「ええ、貴方のが普通より大きいからよ」
「小さい方がいいみたいな言い方だな」
「あの時はそう思ったわよ」
「今は？」
「貴方のなら何でもいい」


上手い事を言うなーと佐藤は感心した
「ひなた、大学に行く気はあるか？」
「行きたかった」

そう行きたかったが、父親が家から通学出来るならいいと言われ諦めた
通学出来る範囲には大学が無い
その頃でさえ、夜の最終が８時で一日５本のバスではどうしようもなかった
そこで早く家を出たかったひなたは、東京での就職を選んだ


父は私を手放したくなかった
私の身体だけが欲しくて反対したんだ



そう、あれは私が高校に入って直ぐだった
あんな父でも、最期の一線はなかなか越えられなかったんだ
しかし、高校になってあの村の風習に我慢が出来なかった
１６歳になるまでに、自分で女にしたかったのよ
今でも一語一句覚えている


「この村の誰かがひなたの処女を破ると思うと、堪らないんだ」
「お願いだ。とうさんに最初にさせてくれ」
「でも、村の決まりを破れば村八分になるわ」
「それでもいい。殺されてもいい」


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