夢を抱いて-70／お見合い

佐藤は秋田犬もシェパードも飼った経験が有った
「ああ、私が仕込む。一頭だと可愛そうだから女の子をもう一頭飼う」
「だったら、さっきの・・・・・ああ、そうか」
「そう。子供が出来てもいい様に」
「ペットショップで？」
「まさか。ショップでは買わないさ。血が濃過ぎるんだ、ブリーダーのは」
「その事も聞いたわね」


「電話を１本掛ければ今日中に見つかる」
「今日は１２月３１日よ」
「平気」
歩きながら携帯を取り出すと話し始めた
「正月明けでいいよ。二匹も今日届けるのか？分かった、待ってる」
「今日連れて来るそうだ」

また携帯を、今度は名刺を見ながら掛けている
「夕方５時頃にお伺いします」
「今の電話は？」
「さっきの田中さん」
「もう見つかったの？」
「そう」


この人は一体何者なんだろう？とまたひなたは思った
電話を掛けて４時間後に子犬が来た
誕生日は９月１５日「姉さん女房になるな」と佐藤が言う
名前はひなたは「ドロシー」にすると聞かず
佐藤は「ジュディ」だと２分した

そう、これも二人で見た「オズの魔法使い」から
「いいわ。女の事は貴方が詳しいから」
それで「ジュディ」に決まった
佐藤の意見が通ったのは久し振りだ

「お見合いが成立したみたいだな」
嬉しそうに２匹がジャレ合っている
「なに言ってるのよ。まだ赤ちゃんなのに」
「そうだな」


さっき行ったばかりなのに、また散歩に行く三人と、今度は二匹
佐藤はもう一度寝る前に、家の周りだけだが外に連れて行ってやった
もう元旦になっていたが、犬たちにとっては暮れも正月も無い


翌朝近くにある神社に犬たちも連れて初詣に行き、御札を買って帰って来ると夕方にはまた散歩
これは確かに健康にいい
いや、良過ぎる


*****************************************
ブログの方にも来て下さい
http://kyoka2.blog18.fc2.com/blog-entry-1.html
*****************************************