第三部　　　家　族

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第十一節　　家庭、新しい生活
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夢を抱いて-65／人が羨む生活

佐藤が横浜のひなたの家に引っ越してから２ヶ月が経とうとしていた
佐藤の子を産むと言って聞かず、その為に料理をアルカリ性だけにするという
６０歳を過ぎた今でも、肉も酒も大好きだった
食べたい物、飲みたい物を我慢していた１１月の半ば、やっと解禁日がやって来る


その知らせは、翔太の２歳の誕生日のお祝いをしたすぐ後だった
「３ヶ月目にはいったそうよ」
「おんな？」
「もう少し先でないと無理だって。今夜は焼肉にします」

おー、２ヶ月振りの肉
２ケ月振りの酒
「はい、ビール」
旨い、やはり焼肉にはビールだ
「ウィスキー？お燗？」
当然、日本酒にした・・・旨い、やはり焼肉には日本酒に限る・・・？


ものの見事に女の子との知らせが少しして届いた
「貴方がみんな頑張ってくれたから。お酒も食べ物も、勿論セックスも」
「・・・・・考えているんだ。妊娠が分かったのが１１月の半ばだろう？」
「そう９週目に入った所だった」
「と言う事は、９月の半ばに受精だぞ。こっちに来た頃じゃないか」
「そうね」
「食事は関係ないと思うんだ」
「そうかもね」
「そんな」
「小さい事は言わないの。女の子なんだから、それでいいの」
「だけど」
「そんな？だけど？私に何か文句があるみたいね」
「いいえ、ありません」
「そう。それならいい」

「どっちが年上なんだ？」
「何か言った？」
「なーんにも」


ちょうど親子ほどの差の二人なのだが、何時からか立場が完全に逆転してしまっていた
長生きしてもらう為、なるべく肉は摂らせないと言い出す
お酒も少し減らすと言い出す
その内には、翔太と佐藤の健康の為に犬を飼うと言い出した

「ここでは犬が飼えないよ」
「引っ越せばいいじゃない」
佐藤の意見は全て通らず、みんなひなたが決めていく
佐藤は３５歳も年下の女と暮らすという、人が羨む生活をしている
まあいいかと考えた


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