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こんなコラムは如何?(残り香)
2010年10月07日 07:50
●ひとしきり嘆き悲しんだ
薄情な男に惹かれるのは悪い癖だ。
それが、モテる男で、片想いにとどめておけばいいものを、
うっかり恋愛をしてしまったとなると、最悪だ。
ほんの一週間前。
これで長年の悪い癖に別れを告げて、
出来ることなら同棲とか、結婚とか、
ひょっとしたら家庭を持つとか、
そこまで人生のコマを進めてみたい――と、
そこまで思い決めていた恋人に、
いともあっさり振られてしまった。
女を自分の家のベッドの上で振る男なんかに惚れていた私は、
おそらく、天下一の馬鹿女なのだろう。
泣きながらブラのホックを留めていたら、
彼は言った。
「そこ片づけるから、
着替えるならバスルームでやってくんない?」
私はバスルームへ行った。
そこにある鏡に映る私自身の姿を見て、
さらにみじめな気分になった。
うつくしく巻かれた髪(抱かれた後だから少しほつれてるけど)。
泣いても落ちないアイライン、その完璧な形。
“このアイライナーとこの形に辿りつくまで、
どんなに研究したことか”
ほぼ理想的といっていいクビレ“ダイエットの成果だ”
それに、この香り……。
髪を撫でながら、「素敵な香りだね。香水?」
と訊いてきたのは、ついこの間のことだというのに。
それ以来、私は独りで過ごすときにも、
ヘアコロンはこれ、と決めていた。
それなのに、それなのに……。
ひとしきり嘆き悲しんだ。
そして、一週間がたった。
●上質な女
彼とは、幸い、あれから一度も擦れ違いもしない。
いつ擦れ違っても不思議はないのだが。
と、いうのも、私の勤め先は彼のクライアントだから。
知り合ったのも社内のエレベーターだ。
(あっちから先に声をかけてきたのに!)。
こんなことはたくさんだ、と、つくづく思った。
だから、私は決心した。
違う自分になってやる、と。
さらに三週間が過ぎた。
昨日、会社の廊下で彼と遭遇した。
彼は驚いた顔をした。
私を振り返ったみたいだ。
夜遅く、メールが届いた。
《また会ってくれる?》ですって。
《本当に好きだったってことに今さら気がついた。
僕の枕はまだ、あの香りがする》
私は努力をして、前より綺麗になっている。
外見だけじゃなく、休んでいた英会話も再開したし、
前から興味のあった会計の勉強も始めた。
変えていないのは、そう、
ヘアコロンぐらいのものだ……。
切ない想いが今日も香る。
それを深く吸い込んで、私は心を強くする。
もっと綺麗になろう。
彼が、メールなんか打てなくなるくらい、
上質な女になろう。
想い出を振り払おうと強く頭を振ると、
髪から香りが舞い散った――
それは、思いがけないほど、
清々しく爽やかな香りなのだった。
私にとってはどうといった気はしませんが女性から見るといかがなものでしょうか
このウラログへのコメント
フッタ女を再度口説くとは、アホな男やね
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