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官能エッセー(その4)

2010年10月12日 10:50

有閑マダムの皆様へ

この時間は何をされているのでしょう?

今日も始めます

35歳 美歩 画家の場合━━━━━━━━━━━━━━━

  ●胸元へ誘い込む

  ピンポーンと呼び鈴の音がして、
  美歩がインターフォンを取り上げると、

 「あさって入荷予定の【新・美術館】の新刊持ってきたよ。
   しかし、重たかったな」
  
  学術書や美術書を専門にする出版社の、
  企画部長を務める恋人の慶治が突然やってきた。

  美歩はあわててガウン羽織ったが、
  部屋にはきつい油絵の具の匂いが充満していた。

  「ごめんなさいね。ありがとう。重かったでしょ。
   ちょっと待っててね。この部屋、匂うでしょ?」
  
  今、換気するから、と言って美歩は窓を開けた。

  「あら、雪?」
  外はいつしか粉雪がちらついていた。
 
  「ここへ来るまでに冷えちゃった。あたためて。
   電車も多分止まっちゃうだろうから、今夜、泊まってもいいかな?」
  
  「本当、冷たい手」
美歩は、慶治の手をとってそっとガウン胸元へ誘い込んだ。
  
  「あったかいね。美歩のおっぱい。柔らかくて、最高の暖房だ」
  慶治が美歩の耳元で囁く。

  「絵、描いてたんだ?それにしても、部屋ずいぶん暑くないかい?
   テレピン油の匂いがきついし良くないよ」
  
  「……だって……」
 
  「何を描いてたんだい?」

 慌てたように隠したキャンバスの布を取ろうとする恋人に、
  諦めたように美歩は笑いかけた。

  「……これよ」
  描いてたのは美歩自身のヌードなのだった。

  「多分、私、今が一番きれいなときなのよ。だからおばさんになる前の
   一番きれいな自分を描いておきたくて……」
 
  恋も仕事も充実しているこの今、36歳の誕生日を前に、
  美歩は自分自身を記念に描こうと考えたのだった。

  「美歩はたとえ、50歳になってもおばさんになんてならないよ。
   可愛くて、きれいマダムだ。この絵もとてもステキじゃないか」

  言いながら悪戯な手がガウンの紐を解きにかかった。
  
  「ヌードを描いてたから、ガウンの下は裸なんだね。
   だから、暖房きつくしていたんだ。いいタイミングだ。
   すぐに愛し合える」
 
  慶治は、美歩に何も言わせないうちに
 恋人の足元をさらい抱き上げて、寝室へ続くドアを開けた。

  「次回配本の【新・美術館】は、日本の浮世絵だ。どうする?」

  「お願いするわ。全集で揃えたいの」

  「浮世絵なら僕は北斎がいいな。
   知ってるかな、葛飾北斎の【大蛸と海女】の絵」

  「もちろん知ってるわよ。有名な油絵じゃないの。
   大蛸が海女さんの下半身に絡みついて触手で触ってる絵でしょ?」
  
  「そう。小蛸が唇に吸い付いて、
   大蛸が性器を探ってるなんとも淫靡で情欲をそそる、
  【元祖・触手もの】の絵だ」

  「詳しいのね」

  「だって、僕が企画担当だからね。
   で、触手じゃないけど、美歩もローターは好きだよね?
   可愛がってあげるから、脚を開きなさい」

  有無を言わせぬ命令口調だが、
  Mの資質を持つ美歩は逆らえなかった。

  「痛いのは嫌よ?」
  
  「でも恥ずかしいのは好きだろう?」

  ――だって……。
  ――あなたの視線だけで、感じるんですもの……。
  ――恥ずかしいの……好きだわ……好きなんだもの。
 
下肢に降りた恋人の悪戯な指が、美歩の花びらをめくりあげ、
  ローターで中を探っていた。
  
 「意地悪なんだから、もう」

 美歩は脚をぎゅっと閉じるが、すかさず慶治の膝で両脚を、
  前よりももっと大きく割り開かれてしまった。

  ローターが慶治の手からこぼれたが、
  慶治は美歩をきつく抱きしめて、耳元で囁く。

  ●羞恥快感に疼いて…

  「あの絵、完成したらどうするんだ?
   何かのコンクールに出すのか、それとも…」
  
  「嫌だわ。ヌードよ。秘蔵品として隠しておくのよ」
  
  「もったいない
  
  「ね、今度、ここ、描かせてよ。俺だって少しは絵心があるし、美歩の大事な花、描いてみたいな」

  「……」

  「写メで撮るものいいな。待ち受けにしたいよ」

  慶治はローターを拾い、スイッチを入れて、
  美歩の女芯を探りながら言った。

  「写真は絶対嫌よ」

  「なら、絵ならいいんだ?」

  「見るのがあなた限定ならね」

  「もちろん、限定だよ。さぁ、もっと奥までよく見せて。
   ほら、だんだん赤く充血してきた。クリトリスがぷっくり膨れて、
   ヘアに蜜が絡んできてるよ」

  「あ、ああん……」

  耳元に自分でも見たことのない、
  女の最奥の様子を赤裸々な言葉で囁かれて、
  美歩の身体は羞恥快感に疼いた。

 「そうだ、ローターに被せるアイテムも試してみようか?」
  言いながら、慶治はローターキャップを取り付けた。

  ローターだけでも、女芯を覗かれているという思いで感じてしまうのに、
  この上、ラブグッズに新しいアイテムが加われば――。

  「あ、ああぁ!いやよ、これ、なんなの?まさか、触手もの?」
  美歩は肩で息をして、ベッドにのけぞった。

  「いいだろう?美歩は見られるだけで
   感じちゃうほど敏感だもんな。そこにこんなもの使われたら――」

  「あ、あん、ああ……」

  「もっと奥まで?それともローターでなく、僕の指のほうがいい?
クリちゃんを舐めてあげようか?僕の触手は指と舌だけどね」

  感じやすい耳元に息を吹きかけられると、
 美歩は早くも一度目の絶頂が近いことに慌てて身をよじったが、それは恋人の次の行為をあおる以外の何物でもなかった。

  「ローターで充血した美歩の性器
   絶対に描かせてもらうからね。約束だよ」

  「……」

  「はい、って言いなさい」

  「……はい、……いいわ。描かせてあげるわ」
   
  半ば強引に約束を取り付けた恋人は、
  嬉々として、美歩の秘花に唇を寄せた。
 
 
 少しは刺激になりましたでしょうか

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