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官能小説作品 :「忘れられないヒト」

2010年10月27日 23:37

面白くないですか、そろそろ飽きられてきましたでしょうか。こういう話は如何でしょうか。
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  ●その文字を見たとき、春香は少し胸が苦しくなった

  春香セミロングの黒髪を束ねながら、郵便局の窓口に向かった。

  「どちらの年賀状にいたしますか?今年は色付きや
  キャラクター付きもありますよ」

  今年は郵便局年賀状には力を入れているようだ。

  CMもとても上手に作られていて、その主人公たちのように
  自分もお世話になっているみんなに出してみようかなぁ、
  とつい触発される。

  春香も小さい頃は友達や先生に必ず書いていた。
  しかし、大人になってからは仕事上で数枚出す程度で、
  プライベートではほとんどがメールで済ませるあいさつだった。

  「手紙は書くのも受け取るのも楽しいもの」

  仕事や日々の生活の慌ただしさにかまけて、それをすっかり忘れていた。
  あのCMは、そんな春香に重い腰を上げさせてくれるのに十分な力があった。

  今年は、昔手紙をよく書いていた小中学校の友人にも送ることにした。
  とはいえ7年もブランクがあると音信不通になっているかもしれないので、その頃から今でも交流のある友達に、メールで確認を取ってみた。

裕子はまだ実家だし、雅子は結婚して大阪に行ったみたい、
  知美も家は出てるけど近所に住んでるよ。あと……」

  みんなそれなりに変わって、それなりに元気なんだ。

  その返事のメールを見て、春香はほんわか暖かい気持ちになった。

  「あと明博も自宅から大学院通いだし、祐輔は…最近連絡取ってないなぁ。
  うーん、とりあえず、春香アドレスをみんなに教えて、
  本人から直接連絡が行くようにするね」

  祐輔。

  その文字を見たとき、春香は少し胸が苦しくなった。

  小学5年生の頃からずっと好きだった。低学年の子に優しく接している姿を
  見て好きになった。趣味も合って、よく話をした。仲も良かった。
  周囲から噂されたりもした。でもそれだけだった。

  しかし、祐輔は小学校卒業と同時に親の転勤で遠くへ行くことになった。
  目の前が真っ白になった。

 それからは、いつものように一緒に楽しく話をしていても、
  心のどこかが少し苦しかった。卒業式の日に想いを打ち明けようと思った。

でも当日は、いつものように笑顔で挨拶を交わすだけだった。
  祐輔は私とみんなに手早く挨拶をするとすぐに帰って行ってしまった。

  それっきりだ。

  一瞬のほろ苦い想い出から覚め、春香は返事のメールを打った。

  ●急に鼓動が速度を上げた

  そして翌日からしばらくの間、かつての級友からメールが大量に届いた。
 しかし、祐輔からのメールはメールラッシュが止んでからも
  結局届かないでいた。

  仕方ない、とあきらめ、送ってくれたみんなの住所をアドレス帳に控え、
  それぞれの顔を思い浮かべながら年賀状を書いた。

  みんな、どんなふうに大人になって行ったんだろう。

 そして春香年賀状を書き上げ、近所のポストに投函した。
  お楽しみに、と心でつぶやいた。

  友人たちに「年賀状送ったよ」のメールを送ろうと携帯を開いた。
  その時、息が止まった。

  「超遅れてゴメン!まだ間に合う?」

  祐輔からメールが来ていた。急に鼓動が速度を上げた。
  なかなか思うように文章が作れなかったが、
  結局、気軽な感じにすることにした。

  「えーもうみんな出しちゃったよ。祐輔久しぶりだね!
  今はどこに住んでるの?」

  意外にもすぐ返事が来た。

  「一応東京だけど、出張が多くて転々としてるんだけどね…
  とりあえず明日はちょうど春香のウチの近くにいるから、
  よかったらメシでもどう?」

  逢える。

  春香は息を飲んだ。胸が甘い痛みに包まれた。

  そして翌日、最寄り駅前の居酒屋で待ち合わせをした。
  ほぼ同時に約束の時間の5分前に現れた。すぐにお互いが分かった。

  「ふふ。お久しぶり」
  「やぁやぁ。あんまり変わってないね、相変わらず」

  祐輔は小さい頃こそ背が高かったが、今は春香とあまり大差なかった
  (さすがにそれは言えなかった)。でも優しさのにじみ出ているような
  青年になっていた。それがすこし嬉しかった。

  春香と祐輔は狭くて薄暗い2人部屋の狭い個室に隣同士に座った。
  お酒を注文し、久々の再会に乾杯した。あの頃と同じように笑い合った。

  「……しっかしまぁ、ほんと何年ぶりだろうねぇ」
  「祐輔が勝手に引っ越しちゃうから、中学時代はつまらなかったよ」
  「親の出張だもん、どーしよーもないでしょ」
  「そうだけどさ……」

  春香カシスオレンジを一口飲んで、続けた。

  「中学生の頃はあまり楽しくなかったんだよ。大好きだった人もいなくなったし、他に好きになる人もいなかった。それだけでも学校生活の楽しさは違ってくるんだ…ってつくづく思ったよ」

  そして春香高校生の時、急性肝炎で入院し、その間に両親が離婚した。
  何も手が付かなくなり、高校中退した。

  今はコンビニ喫茶店フリーターをしている。とはいえ別に後悔もない。
  常にやるべきことはやってきたし、言うべきことは言ってきた。

  ただ春香自身の力不足と、春香以外の力によって、望まない結果になってしまっただけなのだ。

  「………でも、あのとき、祐輔にちゃんと伝えていたら、
  今は何か変わっていたかな、って、そう思うときはたまにあるよ」

  「そっかそっか…」

  「って、さっきからそればっかじゃん」

  「いやいや、いきなりそんな告白されても戸惑っちゃうでしょうに。
  でも、ごめん、勝手にいなくなっちゃって。
  辛い思いさせちゃったのは事実だよね」

  春香は言葉の代わりにグラスに口をつけながら笑顔で返した。

  ●…うち、くる?

  ご飯が運ばれて来た。お互い食べながら、相手のおいしそうに食べる
  様子を見て微笑み合っていた。

  ある程度食べてから、春香は祐輔に聞いてみた。

  「ねぇねぇ祐輔、今は彼女いるの?」
  「うん?いないよ、会社と出張先と自宅の往復って感じだからさ」
  「そっかそっか」

  「春香は?」
「いない。コンビニ喫茶店と自宅の往復って感じだからね」
  「そっかそっか」

  「じゃあ…手繋いでもいい?」
  「え、今?」
  「うん。他から見えないし。昔できなかったし」

  そういうと春香は祐輔の手をそっと握った。

「えへへ。祐輔の手、ちょっとひんやりしてて気持ちいいね」
  「ちゅーか、春香って意外と大胆なんね…」
  「昔からずっとやってみたかったんだもん」

  それから数分、無言で手を握っていた。握った祐輔の手がすこしずつ暖まって来たのを感じた。

  春香はそっと祐輔に寄り添った。祐輔は一瞬身体をビクッとさせたものの、
  特に抵抗はしなかった。

  しばらく心地よい穏やかな緊張があった。

  「失礼します、抹茶アイスお待たせしましたー」

  店員が緊張を破って最後のデザートと伝票を届けて来た。
  春香はゆっくりと身体を起こし、アイスを口に運んだ。
  それを祐輔が眺めているのに春香が気づくと、

  「あ、祐輔もアイス食べる?」
  「んじゃあもらおうかな」
  「いいよん」

  そういって春香アイスを口に放り込み、すぐさま祐輔に
  ディープキスをした。

  祐輔は驚きのあまり何が起きたのか理解できなかった。
  春香はすっと顔を離し、祐輔に笑顔を向けた。

  「どう? おいしい?」

  それからもうしばらく、なるべく音を立てないように、
  お互いの舌を絡ませ続けた。
  春香は下腹部から蜜がとろとろと溢れているのを感じた。

  祐輔がほしい。身体がそう訴えている。

  そっと祐輔の股間に手をやった。
  いやらしいほど硬い感触。

  「…うち、くる?」

  祐輔はうなずいた。

文字数の関係で明日に続く

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