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黒雲

2007年09月01日 13:31

黒雲

オランダの最南端の都市はマーストリヒトでここはローマ時代からの交通の要所でありベルギーオランダドイツの3つの国境が接する場所に近いことが知られており東西南北の分岐点でもある。 そういう性格からヨーロッパ統合の正式に発足する時にはこの町で調印、発足の式が行われていることからでも今も歴史を踏襲し自ずとその町はエキゾチックな趣が町の中にある。

この町の芸術家協会がオランダ国内から60人あまりの芸術家を招いてこの土、日、古い町の中心で青空マーケットよろしく屋外展示会を開く。 今の時期、皆、それぞれのヴァカンスから戻り新学期、仕事とリフレッシュして各々の活動を始める最初の週末であり芸術の秋のキャンペーンの意味合いも含めているのだろう。 そこに家人も招待され彼女の作品を展示することになっていたのはもう何ヶ月も前から分かっていて夫婦二人で翌日に出かける準備をしていた。

ヴァカンスでゼーランドに家族に出かけ、先週は一人で北の街、グロニンゲンに出かけこの3,4週間でオランダのほぼ西の端、北の端、そして明日は南の端リンブルグと忙しいことだなと、そこに我々を運んだステーションワゴン夫婦二人分の一泊分の荷物と彼女の作品や展示に必要な資材を積み込んでいた。

先ほどまでポツポツと雨粒が落ちていて天気予報では明日は天気が持つものの念のために雨具や自分と作品を覆う強化ビニールのシートも積み込んで明るさの残る空を見上げたら黒雲の動きが早いのが見えた。 厚みがあり明らかにそのうちこれが短時間でも集中豪雨をもたらすに違いない。 幸い東の方に去っていったのだがどこかに多少の災いをもたらすに違いない。

先週、グロニンゲンに行く際に義母を病院に精密検査に連れて行った。 医者から即刻に検査の要ありと云われ待ち時間のないよう予約は朝一番になっていた。 別段急ぐようなことも無ければ医者もそのような按配にしないからそれで家族は心配していた。 それを裏付けるような気配はあった。 てきぱきと血液を採ったりレントゲンを撮ったり、2ヶ月ほど前に私の息子が突然、不可解な病気に罹った折にも行われたのと同じ、エコーを使ったスキャンスクリーニングも行われ2時間弱で義母をうちにつれて戻りグロニンゲンにむかったのだが、その一週間後の今日、義母から又電話があり再検査のため月曜日に短期の入院をするよう医者から言われたと電話があった。

グロニンゲンのジャズフェスティバルのあともうそろそろ30年の付き合いになろうかという日本人の友達のうちに出かけて久しぶりに顔をあわせた。 この人間は昔のヒッピー崩れである。 あちこちを放浪していて放浪仲間のオランダ人と結婚して落ち着き始めたときに同じ建物で働くこととなりそれ以来である。 彼は大学の学部のシステム管理をしていたのだが私が今の職場に移ってからは3,4年に一度顔をあわせるかどうかという付き合いであるがこの男は私たちが結婚するときには私の後見人、というか保証人というか形式上、結婚式で、役所の書類にサインしている。

60になり8月に定年退職したのだという。 まだ3年あるのにというのである。 心臓が悪い。 鼓動を修正しコントロールするペースメーカーのような小さな金属パッケージを半年ほど前に鎖骨の辺りに埋め込んだようで皮膚のすぐ下に見えるそれに触れもした。 機械の助けをうけてもあと10年ぐらいで終わりだそうだ。 執刀したのが彼の友達だからその辺ははっきりしている。 今は心臓移植という手もあるらしいが諸所の理由で期待薄であるらしい。 だから本人ももう余命を数える段階に入ったと言っていた。 現実的な男であるし格好をつける男でもあるからその屈託は表には見せず、こちらからは想像はできるもののこれからの10年を受け入れているように見える。 調子のいいときは田舎スーパーに買い物に出かける静養の日々らしい。 自宅の階段の上り下りは出来ない。 ぶらぶらするしかない日々であるから毎日の食事は自分が家族の分を作るのだそうだ。

この日も調子が思わしくないようで自分のことをひとしきりしゃべるとベッドに戻った。 その後は夫人と一緒に昼食をとり結局そこに5時間ほどいたことになるが4時間はほとんど夫人昼食をともにあれこれ喋っていて、その中でこの秋に初めて日本に行くと聞かされた。 ヨーロッパ中に散らばった昔のヒッピー仲間を集めて日本旅行する計画だそうだ。 いかなる理由かしらないが夫人は今まで東京の家族に会ったことはない。 もう成人した3人の息子たちは今までにそれぞれ日本の家族のうちに滞在しているのにである。 自分の寿命がほぼ見えたことで幕引きの意味もあるのだろう、と夫人が言っていた。

自分には災いは起こっていないが周りにはあちこちにそのような兆しがある。 それは見上げた黒雲がこちらに向かってこず我々を掠めて東の方向に向かっていることに似ている。 その方向に義母も友人も住んでいるのであるからである。

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