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【魔法少女っ】44-5、おもちゃ
2011年11月19日 07:11
小学6年生くらいの男の子が泣いている。
ある年末、家に帰ると、部屋にあったおもちゃが一切がっさいなくなっていた。
男の子の母親は言う。
「そろそろおもちゃはやめて、あなたの興味があること、なりたいもの、夢にむかって頑張りなさい」
悪気がないのが却ってたちが悪い。しかし母親は「既製品のおもちゃ」というレールの上を歩くより、早く息子が息子の夢や道を見つけて欲しいという思いで、おもちゃ捨てを実行したのである。筆者はこの思いを評価するが、手段としては賛同しない。おもちゃの中には「敷かれたレールを歩みつつも新しい道を模索できる」奥深いジャンルが存在するからだ。奇しくもそれは処分の際に最もコスト的にみあわないものなのである。
それは、プラモデルである。
まだリサイクルショップの市場が確立してない時代だった。
男の子のおもちゃは近所や親戚の子に引き取られたが、プラモデルだけは受け取ってもらえず、結局ゴミとして捨てられてしまった。
「おのれ、人間どもめ!」
まだまだ現役なのにうち捨てられたプラモデル達の怨念はゴミ袋の中で増幅された。
しかし、ゴミ屋の車が来た。ゴミ屋の車は無実の人間を殺す死刑執行人みたいなものだ。
当時のゴミ車は万力みたいなものでゴミ袋を圧縮する機能を持つ。
次々と無念に砕け散るプラモデル達。
「ちくしょう!ちくしょう!」
プラモデル達はその無念をある一体に託した。それは中国の独裁者の名を冠したメカのキャラクタープラモデルだった。
「トータク!頼んだぞ」
その瞬間、そのプラモデルは自ら動けるようになった。
「人間どもに、復讐を!」
万力で絶命していく仲間達を尻目に、トータクはゴミ車から脱出した。
しかし、トータクは武器も何も持たずにへろへろだった。しかも、万力の影響で、色々外れそうだ。
「あら」
しかし、トータクには拾う神がいた。当時大学生の松並松見だった。
「可哀想に。ちゃんと治してあげるからね~」
松見はとりあえずトータクにドール用のドレスを着せて、トータクの姿形をスケッチして、模型屋に依った。
「トータク?そのメカは現在絶版さあ」
スケッチした者を模型屋に見せたら、案の定な答えだった。
しかし松見は、諦めず、模型屋の他の棚を調べた。
「あった」
「それは違うね。ハイネスグレードのモウタクトウだね。規格も時代も違うね」
「これで良いですよ」
「それは在庫処分品だから半値に負けとくよ」
定価1500円の二割引きが通常価格で、その半値だそうだ。
松見はモウタクトウをストレート組みした後、トータクの核心的なパーツをすげかえていった。
モウタクトウを組むと剰るポリエチレンパーツでトータクの関節を作ってはめこむやり方だ。
じゃきーん
「完成よ~。トータク・松並スペシャル!」
素人にしては良くやった!感動した。
トータクはいつしかネオバビロニア帝国の幹部になるのだが、ここからが始まりだった。
「…という経緯だったのよ~」
演劇部部室で長く話した松並先生。
いとおしむようにプラモデルを抱きしめる。
「そうだったんですか~。鎧さんなんだかんだと幸せだったんですね」
茜以外全員寝ている。
「また、治してあげるからね~」
おしまい
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