- 名前
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- 基本的にメル友募集ですがご近所ならば逢いたいぜ。 クリエイター気取りのバカです。 ラ...
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【魔法少女っ】43-3、麻衣子と迷子
2011年11月12日 07:10
はてさて、久しぶりの登場となる、青柳麻衣子。
お勉強の参考書を求めて、ちょっと遠出して大きめの書店に来た。
「やっぱり、この書店に来て良かったわ」
目当ての書物を見つけて満面の笑顔な麻衣子。
「おや?」
麻衣子は心細そうにしてる幼い少年を見つけた。キョロキョロウロウロしている。
「どうしたの?迷子?」
「ん~。マイゴってなぁに?」
言われてみれば説明を即答できない言葉である。麻衣子は少し考えてから言った。
「道に迷ったとか、一緒についているひとがはぐれたとかで心細いって感じかな」
「だったら、余はマイゴじゃあないよ」
少年は先程までの不安定さを顔から消してた。
「お姉さんが助けてくれるんでしょ。だから心細くない」
「あちゃ~。一本取られたわ」
さりげなく「助けろ」と頼まれたようなものだ。しかもこの頼みかたでは断りもしづらい。
「しょうがないわね。わたしは麻衣子。宜しくね」
「お姉さん、マイゴなんだ」
からかう少年。
「うむ~。確かに似てるなぁ。……じゃなくて麻衣子って名前なの。あなたの名前は?」
「ネロ。暴君ネロ」
「ドキュンネーミングだね」
「お姉さん。ドキュンってなぁに?」
「子供には毒が強すぎるから、教えてあげないよ、じゃん!」
それにしても、と麻衣子は考えた。ひとは誰もが迷子なのかもしれない。この少年、意味深いな~。
「で、心当たりとかはない?」
「パトラッシュはこんな感じの体型だよ」
ネロはチラシの裏に同行者の体型を書いた。
力士的な、格闘家的な体型だ。
「衣装とかはどうかな」
「こんな感じ」
葬式に参列者が着る礼服な感じ。
「執事っぽいね」
麻衣子は驚かない。後輩にお嬢様がいるからだ。
だとすれば遅かれ早かれ、同行者はネロを見つけてくれるだろう。
「この街には観光?」
「うん。余はいろんな街を見ててたいんだよ」
どこでもいい、と言われてるみたいでちょっぴり残念ではある。香住町が属する市は観光に力を入れているから、そう言われるのも宿命的なものなのだろう。
本当は気取らず、飾らず、ありのままの姿が観光の対象にされたらいいのだ。
「だとしたら、この街はネロにはつまらないかもしんないね」
「そうでもないよ」
断言された。
「同じ街というのはまずないよ。だから大丈夫。今日はお姉さんに会えたから」
「こら。お姉さんをナンパするなんて数年早いぞ!」
ポカリ。
「あう~。ナンパとかじゃないよ。余は本当に」
「はいはい。色恋はまだ早いぞ。わたしが。わたしは今は受験勉強なの」
「受験ってなあに」
「この国で生き残るための戦争ってところかな。少なくとも一生に二回は勝たないと、生きちゃいけないシステムなのよ」
「平和そうに見えて難儀なんだね。受験に負けたら死んじゃうの?」
また深い事を聞く少年だ。
「そうかも知れないわね。命を取られるわけではないけど、「自分が自分らしくあるための生き方ができなくなる」その意味では殺されちゃうかも知れないわね。例えば、独裁者に支配された民衆みたいな」
「…………」
ネロにはなんか心を針でつつかれたような感じがした。
「難しい事を言っちゃったわね。他所の国の子供に分かりにくいよね」
いや、よりわかったからグサッときたわけだ。
ネロは独裁者の器だ。千歳の背負うような「皇帝学」ではなく、「皇帝そのもの」としての役割を持って存在しているのだ。
「う~。お姉さんはしなないよね?」
「別にわたしは生存のために勉強してるんじゃないわよ」
「ほへ?」
「叶えたい夢があるのよ。その夢に近づくために、この街から離れて、東京にある学校に受験するのよ」
「夢……。余にもあるよ」
それは皇帝として国を統べる「役割」とは別に、ネロが持っているものだ。
「へえ?どんな夢?」
「教えてあげないよ、じゃん♪」
続く!
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