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【魔法少女っ】41-2、茜、告白される?

2011年11月01日 07:29

それからしばらく後の日である。
清澄茜の日常に、ひとさしの演出が加えられたのは。
下駄箱に一通の手紙。
はわわはわわっ」
「どうしたん?茜」
落ち着け、おちけつ、わたし。きっと誰かと間違って投げ入れられたのですっ」
この手の手紙を、喜んで開封したら、下駄箱の配置を間違って投函されていた、他の誰か宛だったなんて話はざらにある。
茜は封筒を隈無く見た。
清澄茜さま」
「どひゃー。わたし宛ですっ」
「ほへー。茜にもようやくファンが着いたか~♪」
こういうのに慣れっこな小春が微笑む。
「はうっ。どうしましょ」
「無視しちゃっても差し支えないよ。ファンは手紙を書いた時点で満足するもんだし。でも、真面目なラブレターだったらって茜なら考えちゃうよね」
「はひっ」
「とりあえず、手紙の内容を吟味して考えよう」

昼休み。演劇部衣装置き場。
「おはなししたいことがあります。放課後、校舎裏に来てください」
差出人は書いてない。
字は丁寧だ。
「告白系か~」
小春はそう分析した。
「いいえ。これは果たし状ですわ。好意ではなく敵意ですわ」
千歳が違った視点で言う。金持ちお嬢様だと、やはりこういう手紙をもらった経験があるが、千歳の場合は金持ちをやっかむ嫌がらせの類いだったようだ。
「呼び出して待ちぼうけを食わせる」というパターンが大半だったようだ。
「あはは…そりゃ災難」
恋心ならばダイレクトに伝えるべきですわ。愛してますわ、小春
「いや、あたしそういうんでないから」
いつものようにいなす。
「でもこの手の呼び出しは大抵、女の子だね。しかも年下」
「はぅ~男のこでも女の子でもどうでも良いです~。どうせお応えはできません。問題はこの呼び出しにどう対処すれば良いのかです~」
オロオロする茜。
「差出人がわかれば返事は容易だけどね」
「とりあえず、呼び出しに応じてみては?大丈夫。わたくし達が着いて行きますわ」
校舎裏を見渡せて、すぐに駆けつけられるような配置に美術室がある。そこは松並先生の管理下だから、融通さてもらって、そこで小春千歳が待機できるわけだ。
「はぅ~。感謝するですっ」
「茜さんがどう反応するか楽しみですわ」
「で、告られたらなんて言って断るん?」
「ぴよぴよ」
茜はアドルフさんを抱えあげた。
「正直な事情を話すですっ」
「ああ、なるほどね~」
アドルフさんは魔力ない普通の人々にはぬいぐるみとしか認識されない。「茜がぬいぐるみに恋して付き合っている」なんて言ったら、大抵はヒクだろう。
「ぴよ~」
なんだか不満そうなアドルフさん。ドラゴン語しか話せないから、コミュニケーションが不便そうだ。
「早く人間にしてあげたいのですが、やり方とか皆目見当がつかないですっ」
その逆(人間だか悪魔だかの姿を倒して浄化して、ドラゴンだか妖精だかの姿にする)はできたのだから、「あるない」の議論では「ある」なんだろうが。

茜たちの場合は日常にちょっとした変化が入ったわけだが、日常に大きな変化がある人達もいた。麻衣子とクポーである。

続く!

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