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【魔法少女っ】42-1、残された者

2011年11月05日 06:32

城西和音保健室で目をさました。
からだはちっともなんともない。
いつもよりちょっと長く眠ったような実感だ。
しかし、目覚めた彼女を待っていたのは、お通夜のような表情の琴と茜。安堵の笑顔小春千歳という、なんとも対称的な様子だった。
「どしたの?みんな」

結果オーライじゃあ!」
チャウシェシュクが高笑う。
琴を庇ってかずねが胸に傷を負ったのだ。傷は深く、心臓まで届いていた。
力が抜けて落下するかずね=魔法騎士コード
「チャウシェシュク!」
怒声に振り返ると、長年の宿敵・羽前千歳が睨んでいた。
「もう許しませんわ!」
「ほほう。とっくに許しなどなかったような気がしたじゃあ!」
「黙れですわ!」
いきなりフルバワーの嵐がチャウシェシュクに襲いかかる。
女の子の顔を殴るなんて、格闘家の風上におけないねっ」
小春が格闘と冷気魔法ナックルネガイナーと闘う。
「よくわからないけど、大切な勝負の乱入には度が過ぎているわよ」
麻衣子トラックとムッツリを同時に相手して圧倒する。
「こりゃたまらん。ブラックドラゴン、退却じゃあ!」
麻衣子の渾身の一撃が命中するせつな前にチャウシェシュクはトラックをカードに戻し、逃げ去った。
「オイコラ待ちやがれですわ!」
千歳の声など気にしてない。
「おっと。俺たちも逃げるよ~」
倒されそうなナックルをカードに戻し、ムッツリーニも逃げ去った。
「くそ!逃げられたですわ」
千歳っ怒ってないで、かずねちゃんを治療するよっ」

「あたしとかずねちゃんは同じ属性だから、魔法力回復はできる。それを使って治して」
小春はかずねの手を握り、祈った。
「只今、回復魔法をかけてますわ。治らない傷ではありませんわ」
「ありがとう。でもボクはもうダメだ」
「諦めないでくださいっ」
何もできずに見守る茜。
「みんなが思ってるよりも、命や魂は弱いものなんだ。ボク達も例外じゃない。城西和音の小さなからだという器に複数の魂が入ったのだから、尚更さ。でも大丈夫。ひとつの命や魂が失われるだけで、城西和音が死ぬわけではない」
だが、恐らく魔法騎士なのはこの人格であり、かれが死ぬのは城西和音魔法騎士にはなれなくなるという事だろう。
千歳魔法少女の死をはじめて見た事になる。激闘に負けてチカラを失った有希とは意味が違った。
「姉者!あまり生真面目にならない方がいい。光と闇、手を携えて危機から日常を守り抜くべきなんだ」
「嫌よ!嫌!わたしはかずねちゃんとふたりで!これまでのようにっ!」
琴のこだわりの根っこは、先刻茜が聞いた通りだ。
よくわからないけど、大きな事情があってそれが琴やかずねを縛っているのだ。
「それでは、みんな。さよならだ」
なかないで欲しい。世の中にはさよならさえ言えずに別れを強いられた人々がたくさんいるのだから。

「…そっか…もうひとりのボク、いなくなっちゃったんだね」
話を聞き、かずねは微妙な表情をした。
「かずねちゃん、わたし、どうすればいいのっ」
琴はもう強気オーラを出してはなかった。
「とりあえず……」
茜は立ち上がった。
「わたしのお家に泊まりましょう!」
なんでそーなる

続く!

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