お別れ

虎・鳥谷、残留宣言！久万さん霊前に誓った

サンケイスポーツ10月20日(木)7時51分配信
　（セ・リーグ、阪神１－２横浜、２２回戦、阪神１１勝９敗２分、１９日、甲子園）鳥谷、残留－。国内フリーエージェント（ＦＡ）権の資格取得条件を満たしている阪神・鳥谷敬内野手（３０）が来季、残留する考えであることが１９日、わかった。９月に死去した元オーナー、久万俊二郎氏（享年９０）の「お別れの会」で献花した選手会長は、「来季以降の優勝を」とタテジマの誓い。新監督に指揮が委ねられる来季も背番号１が虎をけん引する。

　空席が目立つスタンドが視界に広がる。敗者の列でむなしさとともに悔しさがこみ上げる。故・久万元オーナーに最後の別れを告げた日の試合後。鳥谷には熱い鼓動が波打っていた。

　「久万さんの生前の思いや苦労に報いるために自分たちにできることは優勝すること、多くのタイガースファンに喜んでもらえるプレーをすること。その思いを胸に残り試合、来年以降も戦っていきたい。きょう改めて感じました」

　選手会長として試合後、広報に託したコメントには、Ｖ奪回という誓いが含まれていた。つまり来季もタテジマを着るという誓いだ。この日、午前中に久万オーナーの「お別れ会」に出席。真っ白な花に囲まれた故・久万元オーナーの写真。ユニホーム姿で献花を捧げたナインの中で鳥谷も感じるものがあった。

　２００４年、ドラフト１位で入団したが、久万元オーナーにとっては最後のシーズンだっただけに“金の卵”だった。生え抜き選手として中軸を打つ虎には欠かせないワンピースとなっている。９月には国内ＦＡ権を取得。その動向が注目されていたが、恩返しの熱い思いが、言葉となって現れた。

　球団は残留に向け、最大限の誠意を示すため、即日交渉。最低３年の複数年契約を軸に総額９億円前後の大型契約を用意する考え。鳥谷はＦＡ権を得て速攻アタックを受けたことについては、「そういう風に思ってもらえるのは、幸せなこと」と語っていた。

　だが、今月１６日にはＢクラスが確定。真弓監督の事実上の解任が決まり、この日の横浜戦は観衆は２万５７２０人。実数発表になった２００５年以降の甲子園では最少となった。

　オーナーに就任２年目の１９８５年、日本一となった久万さん。しかし、その後は長い低迷時代に突入。野村監督、星野監督と外部の名将を次々と招へいし、強いタイガースの礎を再び築いてから退任した。暗黒時代は知らない鳥谷だが、選手会長として負の歴史に陥ることだけは阻止しなければならない。それが名物オーナーに報いることになるはずである。

　一回には二死から内野安打で出塁してチャンスメーク。続く新井の適時打で、先制のホームを踏んだ。打率は・２９８で、残り５試合も当然フル出場して、自身初の２年連続３割にも挑む。

　来季は新監督となるため、戦力整備はまだ先になりそうな見通しだが、虎生え抜きの背番号「１」が発した力強い言葉の意義－。もう一度、強い虎を取り戻す。７年ぶりの歓喜は、鳥谷が久万さんへ、ファンへ、届ける。

最終更新:10月20日(木)7時51分

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