あこがれ-26／上手い言い方

「同じ位の男の子は全然興味ないんです」
「美咲は、ませガキだな」
「昨日からもうガキじゃありません」
　怒っている
「今は年上に惹かれる年頃なんだ」
「わたしには年頃は関係ありません。　貴方に対しては」

・・・それにしても上手い言い方をする。
好きなことは
「読書にテニス、料理とピアノそれに貴方」
　だそうです　私も聞かれ
「読書、スポーツ、特にスノーボードとゴルフとテニス、クィーンそして旅行」
「へー、クィーン？　わたしも好き」
それじゃとCDをセットします。


「本が凄い」
　と感心しています
一つの壁半分にギッシリと並んでいるのを見て
「借りていい？」
「どれでも持って行くといいよ」
　２冊手にしています
「知っているのウィンズロー？」
「タイトル聞いたことあるし、その内と思っていたから」
「気に入ったら続きも読んだらいい」
「これからは、本屋さんに行くことも、アマゾンで注文する必要もなくなった」
「５００冊位ある？」
「７・８００あると思うけれど、田舎にその倍はある」


「そういえば聞いてない、田舎」
「青森」
「へー、それでスノーボード？」
「そう、小さい時からスキーとスノーボードはしていた」
「ご家族のこと聞いてもいい？」
「父は５５歳。　代々続いた医者」
「母も同じ歳。　看護士で薬剤師で栄養士で、まだまだ一杯持っていて、免許オタク」
「兄は５歳年上で医者。　今、東北大に居る」
「へー、お医者様なんだ・・・お母さん、面白い人みたい」
「あぁ、その内、馴れ初めからみんな話してあげる」

「何故、私も成らなかったと言いたいんだろう？」
「医者は休めない」
「何て奴って考えているね？」
　にっこり顔で分かります
「医者になっていたら、土曜の午後クィーンを聞きながら、美咲とこうしていられない」
「どっちがいい？」
「こっち」
「でしょう、だから」


美咲のお父さんはキャリア組の公務員、それも財務省
お母さんは大学教授で、何とお茶の水
３つ上の兄は私の後輩で２年、５つ上の姉がやはりお茶の水の４年
なかなかの秀才揃いです