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俺の24時間20

2008年03月25日 04:56

 ヤタガラスは長野県の皆神山に格納されている。到着した俺はレオノーラとアミを連れて、池袋にあるビルの一室に向かった。JCIAとは一線を隔した一族の支部がある。

 ドアを開けると十数名のスタッフが忙しくデスクワークをしている。その様は普通の企業と変わらない。奥の応接室に通された。皆神山から池袋までは黒いバンに乗り、バンはビルの背後から中に入ったので後ろ手に縛られているレオノーラが人目に触れることはなかった。縛られているレオノーラをみても、スタッフは驚かず、自分の仕事に集中していた。

「さあ、これからだ。」俺の頭のなかにはテロリスト達を更生させるという使命が残されていた。だがこれまでの罪をどのように捕らえるか、JCIAやCIAとの取引をどうするかという問題が残っていた。

 俺はJCIA長官に電話をかけ、この問題を処理した。

 ちょうど電話が終わったところで、ムニュがドアを開けて入ってきた。

「おかえりなさい。」濃厚なキスをして彼女は俺を迎えた。彼女を抱きよせ、彼女の肌に触れただけで俺のものが怒張した。
アミが目をそむけた。
「どうだ、声優のほうはすすんでいるか?」
「ええ。でもあの二人、仲がよすぎてみていらんないわ。」

 俺はムニュを通訳としてよんでおいたのだ。それに彼女をそばにおいておかないと、どうもアミを意識してしまいそうだったからだ。

 レオノーラはすでに俺を信用し始めていた。政治犯だけあって単なる人殺しとは違う。しかし大量虐殺を平気で行う性格をそうやすやすと認めるわけにはいかない。ただ腕の縛りを前にしてやった。


「悪いがいまこれを取るわけにはいかない。俺たちはお前達に協力するつもりはない。お前達が俺たちに協力することで、お前たち自身の道を切り開くのだ。俺はお前達を利用する。それによって真の敵を壊滅させるためだ。だがその方法として殺戮は使わない。それでは相手の術策にハマってしまうからだ。相手は俺たちが殺戮を行い人間同士が殺しあってけだものになってゆくことを望んでいる。」

「敵・・・とは?」レオノーラの口にかませていたタオルは取った。すでに自殺の意志はないとアミが読み取ったからだ。

「われわれの敵はわれわれの背後。つまり政治の裏、経済の裏、国家の裏にいる。それは超国家組織で戦略も一筋縄ではいかない。100年ほど前に彼らの戦略書が手に入り、わが国の政府はそれに対抗する手段として、わが国古来からの忍者の残党を組織して現在の組織をつくった。しかしつくった政府が戦争によって解体され、われわれは地下にもぐった。現在の政府とは距離を置いてつきあっている。政治家の何人かはわれわれの庇護者だ。そのためJCIAと良好な関係を持ちながら活動している。」

「その敵組織壊滅のために私たちを利用すると。」

「そうだ。それを条件にJCIAは米国にこの一件を話さないこととした。」

「米国はその敵組織のことをしらないのか?」

「米国は敵組織の巣窟だ。」

「やはりそうか・・。」

「だがお前の国を作ったのも、敵組織だ。」

「そんな話をしていたな。」レオノーラはその点は理解できぬという顔をみせた。

「おまえの国の創立者はC国の情報機関で生まれ、育てられた。つまり、お前の国はもともとC国の傀儡国家として生み出されたのだ。その証拠に、現在のリーダーがC国のリーダーと会って話している内容がこのビデオに納められている。俺はその証拠ビデオを見せた。」

「嘘だ、これは捏造だ。」

「そう思うのも無理はないが、これは捏造ではない。」

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