- 名前
- コアラ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 56歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 悔いないように。楽しいひと時を過ごそう。生きていてよかったと思えるような瞬間を増やそう。
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俺の24時間14
2008年03月17日 21:35
レオノーラにはこの間の手は通用しないと思った。彼女の身体にはすでに拷問の跡があった。どこかでつかまったのだろう。
俺はカレンに自白剤を用意させた。時間がない。彼女からあらゆるテロの計画を聞きださなければならない。
自白剤を注射したあと。彼女はすんなりと話し始めた。彼女の計画は日本と敵対している北の国と、アメリカとも仲たがいさせて、日本を孤立化させ、内部にも諜報員を送り込み、根底から国家の転覆をはかるという壮大なものだった。
日本の政界や学会にもパイプがあるようだ。これは俺だけの手に負えない。
さて彼女をどうするか。日本に連れてかえれれば一番良い。しかし、彼女をアメリカ国外から出すのは至難だ。かといって彼女を味方につけることはおそらく無理だ。彼女の考えかたが根底からB思想に染まってしまっている。洗脳を解除できるかどうかというレベルではない。彼女の人格そのものがB思想で出来上がっている。これは簡単にはいかない。
「カレン。彼女を変えられるか?」
「無理ね。あたしには。でも・・・共感能力の高いカウンセラーならあるいわ・・。」
「なるほど。共感を利用するんだな。」
「そう。私の同級生にずば抜けた共感能力をもったエキスパートがいるわ。」
「危険はないのか?返り討ちにあうような。」
「ミイラ取りがミイラにでしょ。その可能性もないではないわ。だから必ずスーパーバイザーをつけないとだめ。」
スーパーバイザーとは共感にあたるカウンセラーを見張るような立場の人間だ。
「カレン。君がスーパーバイザーになって、その共感能力の高いカウンセラーを使うことは可能か?」
「ええ大丈夫だと思うわ。でも彼女は今東京にいるわ。」
「わかった。」俺は東京の部下に連絡して皆神山の地下にあるヤタガラスという国産のジェット機に乗せて、彼女をここに連れてくるよう指示した。
東京に居るエキスパート・カウンセラーはアミという。カレンとは違い小柄で日本的しかも繊細な女性だ。彼女は民間人だから俺たちのように汚れた世界に引き込んではならない。しかし、事の全貌を話さないわけにはゆかなかった。
彼女がホテルに来る前に、俺は出来る限りの情報をレオノーラから引き出した。彼女の組織は日本だけでなくヨーロッパにもあった。自白剤が効き過ぎる・・一瞬不安がよぎった。
「しまった。情報が偽か!!」
レオノーラは偽の自白剤が聞いたように見せかけて、偽の情報を俺たちに流し、俺たちが動くことで現地の本当のメンバーが逃げられるように仕向けたのだ。おそらくこれまであげた幹部の名前はうそだ。
「やられた。」
俺ともあろうものが、今回は裏を書かれた。いまごろメンバー達は逃げているだろう。しかし自白剤がきかないとはなんという女だ。
「自白剤というのは万能ではないのよ。大脳の上皮を麻痺させるだけなんだから。しかもあなた優しいから廃人にならないように手加減して打ってるじゃない。」
「彼女も親の子だ。人間だ。殺すべきではない。あらゆる技術を使って更正させるそれが俺のやり方だ。」
「わかったわよ。で、どうすんのよ。JCIAのトップエージェントさん。」
さすがに言葉に窮した。この間のように監禁して説得できるような相手ではなさそうだ。男を道具のように扱うこの女にとって、俺の性技など児戯に等しい。
「拷問しかないか・・・・」
そんなに鍛えた人間でも拷問の苦痛を耐え抜くことは困難だ。だが、俺はそういう手段がきらいなのだ。拷問をしょっちゅう行っていると、こちらの神経もおかしくなってくる。それは俺の望むところではない。
俺は手持ちのパソコンからJCIAのでデータバンクにアクセスし、彼女の経歴をもういちど詳しく調べた。
彼女は幼いころ両親をなくし、機関銃をもって戦場を走り続けていた。飢餓に苦しみ、友人を殺されてきたのだ。その憎しみが強固な意志を支えていた。
俺は彼女の背後に回り、鎮魂の姿勢をとり、神言を唱えた。日本古来のマントラだ。神気を静めた。突然彼女の身体が震え始め、何語かわからない言葉を発し始めた。
「なにこれB国語じゃないわ?」
俺は神言を唱え続けた。そしてレオノーラの正面に回り、両指を眉間に向けた。
レオノーラは絶叫を上げて気を失った。
「なに、何をしたのコアラ?」カレンが驚く。
俺は静かに答えた。
「彼女には金毛九尾の霊が取り付いている。」
「はい?」カレンが素っ頓狂な声をあげた。
「何ばかなこといってんのよ。21世紀よ?」
「何世紀だってかわらんよ。今の時代、こういうことを封印しているだけに解決が遅れる。俺もスーパーバイザーとして同席しないと君の友人は取り付かれてしまうだろう。」
「あんたがそんなこという人だとは思ってなかったわ。」カレンがあきれたように俺を見つめた。
「そういわれると思ってやらなかったんだ。特に君は心理学をやっていたからね。異常心理で片付けられる。」
「当たり前よ。潜在意識よ。集合無意識よ・・・」といいながらカレンは自分の無力さに気づいていた。
「わかったわよ。そういうのもありよ。実はね、私の父は超心理学の研究から神がかりのほうにいってしまって帰ってこなかったのよ。私も本当はいくつもみているの。心理学で説明のできないことをね。だから。。。ごめんなさい。」
世界にはまだ解き明かされない一面がある。広大な世界の目に見えない部分が・・・
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