- 名前
- コアラ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 56歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 悔いないように。楽しいひと時を過ごそう。生きていてよかったと思えるような瞬間を増やそう。
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俺の24時間15
2008年03月18日 21:28
わが国の誇るステルス戦闘機ヤタガラスにのってアミはやってきた。CIAとの連携の上にヤタガラスは空港に到着し、警察の車に乗せられて、ホテルに到着した。
日本から来たアミは黒木瞳を思わせる美人だった。前に居ると俺は自分が穢れていることをいやおうなく感じる。こういう仕事をしていると、いろいろな泥を飲む。知らないうちに自分が穢れてゆく。彼女の前に立つとそれを痛感するのだ。
「よろしくコアラです。」
「アミです。」もし俺が民間人だったら、彼女を妻としたかもしれない。そのくらい魅力的な女性だった。
「機の中で聞きました。レオノーラがクライアントね。」
「そうです。ただし、彼女は普通ではありません。つまり・・その・・」
「悪霊がついている?」
「!・・冗談ですか?」
俺は彼女のような心理学のエキスパートが霊の話を持ち出すとは思っていなかった。
「冗談ではないと、貴方のお顔に書いてありますよ。」彼女は涼しい笑顔を向けた。
「貴女は霊の存在を認めるのですか?」
「私は職業上あまり霊の話はしません。でも私の家は先祖代々祭祀を司る家柄だったのです。明治以後、そういう役職からは離れましたが、能力といくつかの技術だけは伝承され、カウンセラーという仮面をつけて働いているだけなのです。」
カレンが驚いた。
「アミ、学校ではそんなこと一言も言わなかったじゃない。」
「そうよ。そんなこといえば皆が白い目で見るわ。そういうことって今の世の中ではあまりいい印象をもたれないのよ。いろいろつまらないことに利用されるようになるしね。」
「では率直にいいましょう。彼女には金毛九尾の霊が取り付いている。俺の力では落とせない。だが俺としては、彼女に拷問を与えてはかせるよりも更正させたいのだ。」
アミは微笑んで言った。
「カレンが言っていた通りの人ね。」アミはカレンの顔をみた。
「なんだ俺のことを話していたのか?」
「そうよ。まあやんちゃな男がいて女をたらしまくってるってね。」
「・・・・馬鹿野郎。・・・」少々恥ずかしい気がした。俺にも恥という感覚が残っていたのだ。
アミはいう。
「お二人の協力が必要だわ。金毛九尾を私たちがやっつけるのは正直無理だわ。ただ彼女から引き離すようにしましょう。それから気をつけるのは私たちに乗り移られないようにすることね。正直私が一番危ないわ。次はカレン貴女ね。」
「女性だから?」俺が聞いた。
「まあおおむねそうね。感受性の問題ね。」
「つまり俺は鈍いと?」自嘲気味に俺は言った。
「そうとばかりは言えないわ、意志が強い場合もなかなか乗り移れないわ。」
意志が強い・・そういわれて俺の自尊心がようやく回復した。
「かわいいわね。」アミが俺の心を読んでつぶやいた。彼女の前では俺もこどもだった。
イスに括り付けられ、猿ぐつわを嵌められた状態のレオノーラの前にアミはたった。
「私が背後に立つわね。コアラさんが正面から鎮魂して。」
俺とアミは正座して忍者のように鎮魂印を手で結び、祝詞を唱え始めた。レオノーラが猿ぐつわを嵌められながらももがき苦しんでいた。
カレンはアミの後ろにイスに座っていた。
「タカアマハラニモトツメオヤスメオオカミ************」
突然レオノーラの目が据わり、コアラをにらみつけた。
「ファアハハハハお前らごときに私が動かせるかあ。」
目が釣りあがり、ケダモノノ形相になっていた。さるぐつわをかまされながら声を発している。
「お前は金毛九尾、お前の正体は喝破した。おとなしく国に帰れ。」俺は正攻法を試みた。
「何を抜かすか、お前の母親は***だろう。お前の父親は***をして、お前はかつて***をした。」
事実だった。この霊は俺の過去の恥部をすべて知っている。俺は動揺した。今でこそ奇麗事を並べているが、俺の過去は汚点だらけだ。
「コアラさん。過去は過去よ。」
アミは俺の気持ちを軽くしようと言ってくれたが悪霊は俺の過去の恥辱に満ちた人生を洗いざらいぶちまけた。俺自身の気をくじくためと、カレンやアミが俺を軽蔑するようにだ。
ところがカレンはいう。
「あら、金毛チャン。知ってるわよ。そのくらい。かれったら、性欲の塊なんだからそれくらいゆるしてあげなくちゃあ。人殺し?」
まじめな鎮魂のさなか、このカレンの冗談じみた返しはかえって空気を変えた。
「あたしだって、人にいえないようなこと、あれもしたし、これもしたのよ~。あたしのお母さんなんて・・・よ。あら、あたしのこと興味ない?金毛ちゃん。あそこも金毛なのよねえ。」
アミは神言を続けていた。
俺は両人差し指をレオノーラの眉間に再びむけ、アミの神言にあわせた。
レオノーラは絶叫して気を失った。
「まだ油断はできないわ、狐は騙しすのが上手だから。」
アミは懐から神札を取り出し、レオノーラの額につけた。再びレオノーラの目が大きく開かれ、血走った。全身が痙攣して再び気を失った。
「彼女の再教育はこれからね。」彼女がつぶやいた。
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