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斗棒餅(どぼもち)

2007年04月19日 10:19

斗棒餅(どぼもち)

正月松の内に初めて熊野古道の中辺路を二日間歩いた。 その折に安珍清姫伝説の町に住む知り合いを16年ぶりに訪ねて歓待された。

初めて訪れたときには秋から大学に行く長男がまだオシメがとれてまだ間もない頃だったのではないか。 そのときに一緒に遊んでくれた知り合いの子供たちも立派に成人して今回子供たちとも談笑しているのをみて月日の経つのが早いのを今更に実感した。

その後、こちらに戻ってしばらくしてから大きな荷物が届き、そのなかに丁寧な手紙と共にどっさり地元や日本のさまざまな珍味、文物が詰め込まれていて恐縮した。 珍しいので友人、家族、親戚が集まったときにつまみにしたり裾分けにしたのだが、どうしたわけか食料庫の隅に草餅が潜んでいた。

時々昼食はインスタントラーメンでそこにいろいろな具を入れてビールで済ますのだが、日当たりのいい台所で今日はこの、石川県からの到来物、斗棒餅(どぼもち)と袋に示されたヨモギ餅を主役にした。

育った家が農家だったから小さいときから餅つきをして育った。 高校時には全員剣道をやらされたことがあったから餅つきの極意というものを剣道の教師からも教えられ自家の石臼で大抵七臼ぐらいはついていた。 それも高校卒業するぐらいまでだったか。 その後、自動餅つき機という炊飯器バイブレーターを合わせたような機械が出来てから急激に家庭で旧式の餅つきをすることが絶えた。

昔のうちではなにかがあると餅つきがあった。 もっとも餅つきの餅からカキモチ、オカキ、アラレ、なども作ったから臼はいつも倉庫のどこかに置かれていた。

年末に帰省したときも親戚が集まって師走の28日ごろに朝の早くから30臼ぐらいついていた。 3年前にも同じことをしてこれは例年の親戚が大人から子供まで集まるまれな行事となっている。 ここでも若い連中が主になってきて50を越したものは杵をとる機会があまりなく、普通女がやる「かいどり」という杵の上げ下げの間にモチを動かしたり水を補給したりする動作を女がいないときにすることをしたりする。 この「かいどり」は餅をつくものとの息が合わないと妙なことになったり手を杵でつかれることにもなりかねないから一番難しい役目なのだ。 つくほうはむやみやたらでも力まかせに振り上げて打ち付けていればいいから若い者にやらせておけばいいのだけれど「かいどり」のほうは身の危険を背負ってする役目なのだ。

私も「かいどり」は中学生のころからやったことはあるのだが、高校のとき一度誤って手の甲を杵で打たれたことがある。 大抵、杵をもつものとの息が合わないか、「かいどり」が杵の下りるまでのタイミングでしようとおもう動作が追いつかない場合であるのだがこのときはタイミングが合わずもちの上から杵で叩かれたかたちになり、すぐ病院に連れて行かれレントゲンを撮ってみれば何事もなかったので単なる打撲と診断され右腕を三角巾で二週間ほど吊りさげて歩き、皆に得意げ、能天気名誉の負傷を見せていたことを思い出す。 それ以来左手で字を書いたり箸を使ったりすることができるようになったのだがこの柔らかいよもぎ餅も今日は左手の箸でつまんで食べたのだった。

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